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志摩で真珠の浜上げ作業始まる 遺骨を真珠に再生する新たな取り組みも

志摩で真珠の浜上げ作業始まる 遺骨を真珠に再生する新たな取り組みも

志摩で真珠の浜上げ作業始まる 遺骨を真珠に再生する新たな取り組みも

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 冬を迎えた志摩・英虞湾の海辺に立つ真珠養殖工場で現在、アコヤ貝から真珠を取り出す浜上げ作業が始まっている。

【その他の画像】真珠の浜上げ作業

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 1893(明治26)年7月、御木本幸吉が世界で初めて半円真珠の養殖に成功し、この地を真珠の生産地として知らしめ真珠産業を興すことになり今年で130年を迎えた。

 真珠養殖は、真珠の元となるドブ貝の殻を丸く球状にした核を入れる「挿核・珠入れ」を春に行い、海の中で育て、アコヤ貝の掃除など手入れを行いながら核に真珠層を巻かせて、冬に「浜上げ・珠出し」を行う。毎年12月~1月には、一年の収穫となる浜上げ作業が真珠養殖工場で行われている。

 そんな中、故人の遺骨を核に成形し真珠として再生しようとする取り組みが2016(平成28)年から行われ、12月18日には夫(父親)を亡くした埼玉県在住の家族5人が志摩市を訪れた。家族は、新たに生まれ変わった「夫(父親)」の姿にさまざまな思いを抱きながら、終始笑顔で浜上げ作業を体験した。

 故人の供養として遺骨を真珠に再生する事業「いのりのしんじゅ」を提供するのはアッシュオン(名古屋市緑区)。同社の田中英樹さんは「これまでに94組の家族が参加してくれた。真珠のアクセサリーや手元供養品として生まれ変わって、皆さまに喜んでいただいている。アコヤ貝に90個の遺骨を混ぜた生成核を入れて9個~18個が真珠として蘇る」と話す。

 今回参加した家族は真珠に生まれ変わった故人の姿を見て「きれい」「不思議な気持ち」と思い思いの感想を言葉にしつつも、子どもたちはたくさん真珠を取り出す人に「お父さん、えこひいきしている」などと蘇った父の姿をしのびながら笑顔で作業を行った。

 夫を亡くした妻は「亡くなった人を身近で感じる新たな取り組みとして、やってみようと応募した。19個の真珠と小さなケシの真珠数個が出てきたが、こんなにきれいな真珠が出てくるのかと驚いた」とほほ笑む。

 田中さんは「真珠養殖業がどのようなものかも見て体験していただくことで、生産者への思いや真珠そのものへの愛着が生まれるとうれしい。伊勢志摩が第二の故郷のようになって、何度も足を運んでもらえる地になればと思い取り組んでいる」と思いを込める。

 志摩市産業振興部水産課の担当者は「これから浜上げ作業が最盛期になる。コロナ禍が明け、景気が上向きになっているように思う。昨年は真珠の価格が少し高くなったので、これから始まる真珠の入札会で昨年よりも高値が付くことを願っている」と期待する。

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