半世紀以上続く歴史ある外洋ヨットレース「パールレース」が始まり、7月25日11時25分、南伊勢町・五ヶ所湾口に設置したスタートラインを48艇(参加者365人)が夏の風を帆にいっぱいはらませ、ゴールの江の島(神奈川県藤沢市)を目指してスタートを切った。
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参加艇には40年前に製造された木船の「HELIOS(ヘリオス)」や浸水して5日目の新船の「ESPRiT(エスプリ)」、元東京都知事・石原慎太郎さんの「CONTESSA XIII(コンテッサ 13)」などのヨットが集結。スタートライン付近ではカラフルな色のセールに風を当てながら時の来るのを待っていた。スタート時刻の11時に一斉にスタートしたがフライング艇が多数出たため審判員が「ゼネラル・リコール」と判定し、再び11時25分からの再スタートとなるハプニングも。
2度目のスタートでは、4~5メートルの南西の風を受けたスピン(パラシュートのようなセール)が大きくはらみ、風を受けたヨットが次々に加速して東の海に小さくなっていった。南伊勢町のゆるキャラ「たいみー」もライフジャケットを着用し「応援艇」に乗り込み参加者を励ましていた。
同レースの第1回は1960(昭和35)年に行われ、横浜から鳥羽を目指すコースで参加艇はわずか4艇。第2回からは鳥羽から横浜を目指すコースに変更。第45回から五ヶ所湾をスタートし伊豆諸島の利島(東京都)をターンして江の島を目指す現在のコース(180カイリ)に。今年で55回を数えコースも定着した。参加艇(参加者)のピークは1991年(32回)大会の185艇(1520人)。その後、日本経済の低迷に比例するように参加艇の数は減少傾向に。1999年に32艇(275人)、2007年に31艇(272人)まで落ち込んだが、現状は少しずつ増えている。
第54回同レース開催を目前にした昨年6月、メーン会場の志摩ヨットハーバー(南伊勢町船越)「Vivre Ocean Club(ヴィーブルオーシャンクラブ)」クラブハウスが不慮の火災で全焼した。開催中止も検討したが多くの人の協力で、無事レースが行われた。現在志摩ヨットハーバーでは再建に向けリニューアルが進められ、今年7月には同レースに間に合うようにトイレとシャワールームを新設した。
河内道夫実行委員長は「地元の方々の協力のおかげで今年もパールレースを開催することができた。早いチームは、明日の昼ごろゴールするのでは。事故なく48艇が無事ゴールすることを願う」と話す。
タイムリミットは、7月27日の14時。参加艇の現在地などはパールレースのホームページで公開中。