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「逃げるサーファー」志摩の海岸で大津波避難訓練、海岸にいた人の参加率100%

「逃げるサーファー」志摩の海岸で大津波避難訓練、海岸にいた人の参加率100%

「逃げるサーファー」志摩の海岸で大津波避難訓練、海岸にいた人の参加率100%

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 7月31日真夏の日曜日午前10時、多くのサーファーや海水浴客で賑わう志摩市阿児町国府浜(こうのはま)全域に大きなサイレンが鳴った。するとサーファーらは一目散に海から出て高台方面へ走った。国府(国府白浜海岸)と甲賀(阿児の松原海水浴場)、志島(市後浜)地区の海岸に津波発生を想定した避難訓練だ。

逃げるサーファー、国府海岸の大津波避難訓練で

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 「紀伊半島沖を震源とするマグニチュード8.7の地震が発生し、震度6強の強い揺れを観測、志摩半島から熊野灘沿岸に大津波警報が発表された」

 さっきまで数千の人たちが海に入ってサーフィンや海水浴を楽しんでいたのに、約5分後には誰もいない海岸になった。海上には鳥羽海上保安部の巡視船「いすず」が、上空からは中部空港海上保安航空基地からやってきたヘリコプターが海上に取り残されたサーファーの救助活動。鈴木英敬三重県知事や大口秀和志摩市長らは海岸が一望できる避難訓練本部席から見守った。消防団や警察などスタッフとして動員された人約100人、訓練に参加した人約1,600人、海岸にいた人の参加率100%。

 この避難訓練は三重県や志摩市の主催ではなく、国府・甲賀・志島自治会や観光協会、駐車場組合、漁協、地元サーフショップ、宿泊施設、志摩パークゴルフ場らで組織した「志摩コーストガーディアンズ」(2006年6月設立)の主催。設立時から三重大学の建築構造学・地震防災が専門の川口淳准教授をアドバイザーに迎え志摩市総務部地域防災室と連携を取りながら「サーファーや海水浴客らをどうやって避難させるか、自分たちがどうやって避難するか」を何度も議論し会議を重ねてきた。これまで避難誘導看板の設置や防波堤階段のカラーリング化、日本サーフィン連盟や駐車場利用者とのネットワーク化などを実践、津波避難訓練は今回で6回目となった。

 東日本大震災発生後、国や県、市町の想定地震規模の見直しが迫られている。三重県は国の方針を待たずに被害想定を見直す防災計画の策定に入った。志摩市は県の方針に合わせる形で防災計画を策定するという。今回の避難訓練では、昨年の訓練時と同じ規模の地震を想定したが、東日本大震災の被害状況を受け津波の規模を大きく想定、いくつかのトライアルも設定した。一つはサーファーに対してこれまで堤防までの避難を駐車場までとし、さらに高台にある一時避難所まで避難を促しその所要時間を測定した。もう一つは海水浴客に対して海水浴場から約800メートル離れた見宗寺(阿児町甲賀)まで避難を促した。

 川口准教授は「3.11があったことで今回の訓練参加者は、よりリアルに感じ真剣に取り組んでくれたと思う。サーファーらは何度もこの地に足を運ぶため海岸清掃など地域との連携にも協力的、また駐車場との連携やサーフィン連盟のネットワークで情報伝達は比較的容易、訓練にも積極的。しかしながら一見客が多い海水浴客に対してはどこまで参加してもらえるかまったく予想がつかなかった。今回海水浴客の約半分以上が見宗寺まで避難してくれた」と成果を評価した。一方「夏のレジャーにたまたま訪れた地でビーチサンダルや素足の海水浴客に対して主催者側が、訓練参加のお願いを強く言えない『遠慮』が発生したのも事実。この『遠慮』をどのように克服するかも避難訓練実施における今後の課題」と話す。

 志摩市は、総合防災訓練を9月10日に波切港(大王町波切)をメーン会場にして実施する。

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