神宮司庁頒布部(伊勢市中村町)内の斎場で1月9日、全国に頒布される伊勢神宮のお神札(ふだ)「神宮大麻(たいま)」や「神宮暦(こよみ)」を作成する年初め神事「神宮大麻暦奉製始祭(たいまれきほうせいはじめさい)」が行われた。
毎年伊勢神宮の「御用始め」となるこの日に行われる同祭は、最初の奉製作業となる大麻第1号に印を押し、1年間の奉製作業の安全と頒布が滞りなく行われるように祈願する神事。「大麻」は神棚などに祭る伊勢神宮の神札。この日は、小松揮世久大宮司を始め神職や職員と全奉製員76人を合わせた計約110人が参列した。
大麻には大きく分けて、神宮で直接授与する「授与大麻」と全国の神社に頒布される「頒布大麻」の2種類があり、頒布大麻の神号名には「天照皇大神宮(てんしょうこうたいじんぐう)」と書かれ、「皇大神宮御璽(ぎょじ)」の印が押されている。「神宮暦」は、「神宮大暦(たいれき)」と「神宮暦(小暦)」の2種類があり、科学的データに基づき天体・気象の詳細な情報、全国各地の神社の例祭日などを記載した暦・カレンダーの役割を持つ書物。
もともと大麻や暦は御師(おんし・おし)が全国に頒布していたものを、御師制度が廃止された1872年から神宮が同部での奉製・頒布を行い、神社本庁を通じて全国各地の氏神を祭る神社に頒布され、そこから各家庭に届けられている。
朝まで雨が降っていた伊勢ではあったがこの日の祭典が始まる時刻には、雨が上がり青空が広がり太陽の光がその場を明るく照らしていた。祭典は、神前に神饌(しんせん)を供えた後、孫福弘明禰宜(ねぎ)が祝詞(のりと)を奏上。今年も無事に大麻と暦が奉製できるようにと祈願し、6人の神職が八度拝を行った。その後、孫福禰宜が慎重に最初の大麻に御璽を押した。
今年1年間に奉製予定の神宮大麻は950万体で、神宮暦が7万部。9月17日に行われる「大麻暦頒布始祭」の後、全国各地に頒布されるという。