志摩市大王町出身の桐塑(とうそ)人形作家の石野みきよさんの作品展「『ぬくもりの記憶』~幼き日々へ、そして遙(はる)かな万葉の時へ~」が4月12日、「絵かきの町・大王美術ギャラリー」(志摩市大王町)2階展示室で始まった。
桐塑人形は、キリの木を人形の形に彫り、その上にハマグリとニカワを練った粘土で細部を整形し、和紙などで作った衣装などを貼り合わせ完成させる。今回の作品は35点、人形の全長は35~36センチ。
1951(昭和●)年に大王町波切で生まれた石野さんは、1996年に夫の勤務地大阪で人形作家の坂井敏子さんに師事し、人形制作を始める。2001年に故郷に戻り、創作活動を行ってきた。1998年から2002年までは豊中市美術展、2005年から2017年までは三重県展や伊勢市美術展へ出品し数多くの受賞歴を誇る。
石野さんは「春の女神『佐保姫』は冬の後に必ず巡り来る春、命を生み育む光の春に震災復興の願いを込めた。『埋火(うづみび)』は灰の中にいつまでも火の命を保ち続ける埋火を、2012年に亡くなった主人の優しさをイメージして昨年作り上げた。こうして展覧会を開くことができて多くの人に見ていただくことができて、人生いいことあるんだなとありがたい。きっと主人も応援してくれていると思う」と話す。
石野さんは「人形は万葉集を題材にイメージを膨らませ、当時の時代背景や衣装など分かることは徹底的に学び可能な限り忠実に再現している。1体の人形を作るのに約1年掛かるので、譲ってほしいと言われてもなかなか手放すことができない…。慌てると失敗するのでゆっくり作るのがコツ。少しでも多くの人に見ていただければ」と呼び掛ける。
開館時間は9時~17時(最終入館は16時30分)。火曜・水曜休館(祝日の場合は開館)。今月30日まで。