富士山が宙に浮き上がっているように見える「浮き富士」「宙に浮く富士山」が12月28日、志摩市の海岸から見られた。
伊勢志摩の海抜0メートルの地点から、気温が下がる冬の早朝で、空気が澄んで水平線上に雲がない条件の時、高さ3776メートルの富士山が宙に浮いたように見える。伊勢志摩から富士山までの直線距離は、200キロ以上。
国内で唯一、「浮き富士」「宙に浮く富士山」を観測できるのは志摩市と鳥羽市。伊勢市から松阪市までの海抜0メートルの伊勢湾岸からも富士山は見ることができるが、富士山の手前に山があるため浮いたようには見えない。一方、静岡県や神奈川県、東京都、千葉県の海岸からも富士山を観測できるが、近過ぎることや手前に山があるため浮いたようには見えない。
志摩市からは、「安乗崎公園」(阿児町安乗)、「国府浜(こうのはま)」(同町国府)、「浅浜」(同町甲賀城ノ崎)、「市後浜」(同町志島)、「須場浜(すばのはま)」(同大王町波切)。鳥羽市からは「千鳥ケ浜」(相差町)、「鎧崎(よろいざき)」(国崎町)。「須場浜」からは直線距離で約206キロで「宙に浮く富士山」観測最遠の地。
「宙に浮く富士山」は、志摩半島の沖を流れる水温の温かい黒潮の影響が大きく、特に気温が下がる冬場に海水と水面近くの空気との温度差が大きくなると光が屈折して起こる「蜃気楼」の一種「浮島現象」がより際立って起こりやすい。
この日は、伊勢志摩から富士山を撮影する写真家の泊正徳さんが志摩市阿児町安乗から撮影に成功。泊さんは「今年も富士山が浮く季節になってきた。今季も何度か浮いた富士山を撮影しているが、今朝の富士山は冬本番の完璧な『浮き富士』。日本で『浮き富士』を観測できる唯一の伊勢志摩に泊まり掛けで撮影に来ていただければ」と話す。