風景写真家の岩咲滋雨(いわさきじう)さんの写真展「道 OZE」が6月1日、伊勢神宮内宮(ないくう)前の「茶房 山中」(伊勢市宇治今在家町、TEL 0596-23-5557)で始まる。
滋賀県出身の岩咲さんは2008(平成20)年、甥(おい)と姪(めい)の写真を撮ってあげたいと思いデジタルカメラを購入したことをきっかけにカメラを本格的に始めたという。同年秋に東京であった撮影会に参加し、年末にペンタックスの中判フィルムカメラ「645NII」を購入。プロカメラマンを目指し自然写真家の鈴木一雄さんに師事した。
2010(平成22)年、写真誌「フォトコン」(日本写真企画)ネーチャーの部で年度賞受賞。2012(平成24)年、写真展「道 OZE」を「リコーイメージングスクエア新宿(旧・新宿ペンタックスフォーラム)」(東京都新宿区)で初開催した。同時期に写真集「道」(日本写真企画)も出版。現在、伊勢神宮の祭典と神宮125社や伊勢志摩の風景、日本の伝統文化、神話、風土、四季折々の風景など、日本人の感性の源を探る「日本姿(にほんし)」をテーマに撮影している。
同展は、群馬県の尾瀬ヶ原に2010(平成22)年5月から2012(平成24)年5月まで通い続けて撮りためた写真のうち、写真集「道」に収録した69点の中の12点を展示する。
岩咲さんは「月2回、カメラや三脚などを背負って1人で山小屋まで3時間掛けて歩き、尾瀬ヶ原を4日間、32枚撮りフィルム5本入りの箱を20箱使い切るまで撮影して、東京に戻るという生活を繰り返した。おそらく8万枚以上撮影したと思う。四季折々の花々が咲く尾瀬ヶ原の美しい高層湿原の木道を見てほしい」と話す。
「なぜ尾瀬ヶ原で木道をと思われると思うが、写真集の巻末に掲載した『無垢の美』という写真を撮った時、吹雪の中で雪で見えなくなってしまう木道が静かに眠りにつくように見え、とても美しく感じ、愛着が湧いた。いろいろな気づきを尾瀬ヶ原の自然からいただいた。人間が本来持っている原初的な感覚、自然への畏敬の念というようなものが呼び覚まされたように感じた」と岩咲さん。
「あれから7年、尾瀬ヶ原から私の心に真っすぐ延びていたあの道が、伊勢の内宮の宇治橋につながっていたのだなと思いとても感慨深い。尾瀬の木道の廃材を利用したエコペーパーで作った写真集も展示しているので、興味がある人は見ていただければ。フィルムのぬくもりを感じていただき、少しでも何かを感じていただけたら」とも。
開催時間は9時~16時。金曜定休(4日、10日、16日、17日休み)。7月31日まで。