漫画家の松本零士さんが10月27日、皇学館大学(伊勢市神田久志本町)学園祭「第58回倉陵祭(そうりょうさい)」の講演会で講師を務めた。
1938(昭和13)年1月25日生まれ、福岡県久留米市出身。「サイボーグ009」「仮面ライダー」などの故・石ノ森章太郎さんとは旧友で同じ誕生日。アニメ「宇宙戦艦ヤマト」(1974年~1975年)、「銀河鉄道999」(1978年~1981年)などを生み出し、その後「機動戦士ガンダム」「新世紀エヴァンゲリオン」などのアニメブームの先駆けとなった。
松本さんは現在、同大が三重県明和町、民間生産者と2つの蔵元・旭酒造(多気郡明和町)と伊勢萬(伊勢市小俣町)とで進めている「産学官連携日本酒プロジェクト」のイメージキャラクターのデザイン制作などで関わりがあり、斎王をモチーフにしたアニメ作品を作ろうと取り組んでいる。
「斎王から令和へ」と題された講演会では、子ども時代は山や川で暴れていた(遊んでいた)こと、戦時中は明石市にいたこと、終戦を愛媛県で迎え、戦後北九州市小倉で過ごしたこと、18歳の時お金がなく原稿料を前借りするために夜行列車に乗って小倉から東京まで24時間かけて行った時の経験が後に「銀河鉄道999」のアイデアにつながったこと、「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」と呼ばれる糸川英夫博士の東大の研究室に出入りする話、手塚治虫の「鉄腕アトム」の1回目のフィルムの製作の際に松本さんの映写機が使われたことなど、松本さんのこれまでの生い立ちを赤裸々に披露した。
松本さんは「野山で暴れた幼少期の経験やその後のさまざまな体験が作品作りに役立った。両目で(直接)見たものはスケール感、距離感が違う。自分の想像力、空想を広げるには人のまねをしてはいけない。映画も作るし、ミュージカルも作るし、まだまだいっぱい描きたいことがある。これからだ」と意欲を見せる。