かつお節の製造販売を手掛ける「かつおの天ぱく」(志摩市大王町、TEL 0599-72-4633)のいぶし小屋で2月8日、小山(おやま)伸二さんの詩集「さかまく髪のライオンになって」(書肆梓)の出版記念トークイベントが行われた。
【その他の画像】小山伸二さんの詩集「さかまく髪のライオンになって」出版記念トークイベント
「かつおの天ぱく」主催の同イベントは、かつお節を製造するいぶし小屋で、「なかむら珈房(こうぼう)」(伊勢市河崎、TEL 0596-28-3294)のオーナー中村雅則さんと中村純也さんがいれたコーヒーを飲みながら、小山さんが詩を朗読するというもの。この日は約20人が参加、小山さんの詩集を手に、小山さんの話に耳を傾けた。
鹿児島県出身の小山さんは、東京都立大学法学部卒業後、柴田書店(東京都文京区)入社。食文化、コーヒー、料理本などの書籍編集を経て、辻料理教育研究所(大阪府大阪市)メディアプロデューサー、立教大学観光学部で「ガストロノミーと観光」について教壇に立つ。「日本コーヒー文化学会」常任理事、「食生活ジャーナリストの会」幹事を務める。詩集「きみの砦から世界は」(思潮社)など出版。
「なかむら珈房」は、農園・品種指定で仕入れたコーヒー豆を自家焙煎(ばいせん)し、2016年に開かれた「G7伊勢志摩サミット」の初日配偶者プログラムにおいてオリジナルブレンド豆「サミット」を提供。純也さんは日本スペシャルティコーヒー協会(東京都港区新橋)主催の焙煎技術を競う「JAPAN COFFEE ROASTING CHAMPIONSHIP 2017」日本大会において3位入賞。この日は「サミット」と純也さんが現地ルワンダで直接買い付けた「ルワンダ」のコーヒー2杯を提供した。
小山さんは、書籍に収録されていない新しい詩「鰹節の歌」を披露。ガストロノミーについて、かつお節ができるまでを例えに説明、フランスの政治家で美食家のタレーランが美食を政治の道具に使ったことなど食の持つ力について、また「ルワンダ」のコーヒーが提供されると、コーヒーに関連する詩とコーヒーについての思いを語った。
大王崎周辺地区活性化協議会じゃまテラス部会所属の林花奈さんは「地域でプロジェクトを立ち上げる際に、この地域に昔からあるものに、合うものは何だろう、アクティビティは何がいいだろう、と考えて取り組んだが、結果あまりうまく行かなかった。今日、ここに来るまで詩とかつ節とコーヒーという全然違うものの組み合わせがどうつながるのか想像つかなかったが、小山さんのお話を聞いて全然違う世界でもつながる瞬間があるんだと思った。世界が広がった」と感想を述べた。
同イベントを主催した天白幸明さんは「いぶし小屋でこのような文化的なイベントを開くのは初めて。今後、食に関する話題や食文化をさらに追求できるような催しを開いていきたい。3月は『伊勢うどん大使』を務めるライターの石原壮一郎さん、4月は伊賀焼の『土楽(どらく)』の福森雅武さんのトークイベントを開催予定」とも。