鳥羽市石鏡(いじか)町で海に潜る海女(あま)の佐藤梨花子さんが12月4日、サザエ漁の最中に全長35センチの伊勢エビの殻を見つけた。
愛知県豊田市出身の梨花子さんは、英語が堪能な33歳。2015(平成27)年12月に同市出身の佐藤達也さんとの結婚を機に移住した。梨花子さんは26歳の冬に未経験から海女になることを決意。2017(平成29)年8月に夫婦で「漁業体験民宿・ゲストハウス『AMARGE(アマージュ)』」(鳥羽市石鏡町、TEL 050-3718-3734)をオープン。英語の語学力を生かしインバウンド向けに情報を配信し、サービスを提供していたが、新型コロナ感染拡大に伴う外国人の入国規制や移動自粛などによりキャンセルが相次ぎ、1月から8月まで予約がほぼゼロとなっていた。
現在は、志摩市観光協会(志摩市阿児町)で情報発信の仕事に就きながら、海女業とゲストハウス運営を行っている。
大型伊勢エビの殻は、全長約35センチ、触角の長さ約35センチ。梨花子さんは「サザエを取るのに海に潜ったところ、大きな伊勢エビを見つけたので捕まえようと思った。近くまでいくと動きが少し違っていることに気付き、脱皮した殻だと分かったが、あまりの大きさに記念に持って行こうと思った。生きていたらおそらく1キロ前後の大物なのでは」とほほ笑む。
現在2.14キロの巨大伊勢エビを飼育展示中の鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)飼育担当の森滝丈也さんは「当館の水槽の中でも小さい個体は3、4カ月ごとに脱皮する。過去に2.04キロの伊勢エビが脱皮した記録があるが、大きな個体になればなるほどその周期は長くなるようだ。自然界で殻がきれいな状態で見つかるのは珍しいのでは」と話す。
梨花子さんは「取ったばかりの時は、殻のつやも色が本物そっくり。おそらく脱皮したてだったのだろう。左の触角が少しだけ欠けてはいるが足もきれいに残っている。足の太さは私の指くらいある。これだけ大きな伊勢エビの殻なので、はく製にしてゲストハウスに飾ろうと思う。外国人のお客さまが宿泊してくれた時に、『今度は、この抜け殻の本物を見つけて取ってくるんだ』と話題にしたい」と笑顔を見せる。