伊勢志摩経済新聞の2020年年間PV(ページビュー)ランキング1位は、「伊勢市の倉庫でオイルショック時に備蓄した大量のトイレットペーパーが見つかった」ニュースだった。
【その他の画像】ドルショックの時に生活必需品を大量に購入した時の写真、ストレス発散にも
ランキングは今年1月1日から12月11日までに伊勢志摩経済新聞が配信したヘッドラインニュースのPVを集計したもの。上位10位のランキングは以下の通り(カッコ内は掲載日)。
1. 伊勢市でオイルショック時に備蓄した大量のトイレットペーパー見つかる(3/4)
2. 伊勢の呉服店「いけべ」がマスク専門店 伝統織物の浴衣生地使用(4/10)
3. 「伊勢角屋麦酒」新型コロナでピンチ 12万リットルのビール動かず(4/11)
4. 多気町にチーズテリーヌ専門店「KURATA」 販売開始90分で完売に(8/29)
5. 多気町のシャープ三重工場でマスク生産 決定から約1カ月で製品化(4/9)
6. 伊勢の食品卸業者、給食余剰食材パチンコ店駐車場を無償で借り販売(4/27)
7. 多気町「五桂池ふるさと村」に「マルシェグランマ」三重の産品一堂に(10/25)
8. 南伊勢町田曽白浜に農耕用トラクター出現 活用方法にメーカーも驚き(6/15)
9. 伊勢でもコロナ退散祈願の花火 伊勢神宮にほど近い五十鈴川上空に(6/2)
10. 賢島にバゲットサンド専門店「Cafe Entrada」 移住組女性3人が開店(7/9)
1~3、5、6、9位にランクインした6つの記事は、新型コロナウイルスに関連するものだった。2020年は、世界中で新型コロナウイルスに関連するネガティブなニュースが多く配信されたが、そのような状況でも世の中が明るくハッピーになるニュースを伊勢志摩の地から配信することができた。
年間1位となった「オイルショック時に備蓄した大量のトイレットペーパーが見つかった」ニュースは、世界中で同時に「トイレットペーパーパニック(騒動)」が発生していた時に、伊勢の倉庫を掃除した女性が、1973(昭和48)年のオイルショックの時にも起こっていた「トイレットペーパーパニック」のその後の「結果」を写し出した写真をSNSで紹介。「トイレットペーパーを大量買いしているみなさ~ん、数十年後、こんなして発掘されますよ。(笑) 母よ、お前もか!」(原文ママ)。発見した女性のSNSの投稿が印象的だった。しかし、当時もメディアに翻弄(ほんろう)された人たちによる不安からの大量購入が社会問題となっていたが、同じSNSの投稿で、生活用品を大量購入した時に写したアルバムの写真に「ズバーッとお金を使うのって いい気持ちです ストレス解消」とメモ書きがあったのを見て、「不安からの行動だけでなくストレス発散が大量購入を増幅させる要因の一つなのかも」と分析する女性の視点に納得させられた。
2位には、伊勢の呉服店「いけべ」(伊勢市御薗町)が伝統織物の浴衣生地を使用してマスクを作り販売したニュースがランクイン。コロナ禍で「トイレットペーパーパニック」と同様に「マスクパニック」も発生していたが、デザイン性が高く高価な生地のマスクが注目された。その後店頭にはマスクを買い求める人の長蛇の列が連日発生していた。3位には、飲食店に客が来なくなり商品の注文がパタリと止まってしまった「伊勢角屋麦酒(ビール)」を製造販売する二軒茶屋餅角屋本店(伊勢市神久)の記事。ニュース配信後、このニュースが拡散され、多くの人の応援の輪が広がり、ビールを大量廃棄せずに済んだ。
5位には、液晶関連の商品の生産に特化してきたシャープ三重工場(多気郡多気町)が、固くてハイテクな製品から柔らかくてローテクなマスクの生産に乗り出した記事。6位には、給食で使われるはずだった大量の食材が売れ残り、販売ルートが無く困っていた食品卸売り業者「塩崎」(伊勢市宮後)に、休業中だったパチンコ店「ハワイ・伊勢店」(伊勢市上地町)が駐車場を無償提供したニュース。当時自粛要請に応じないパチンコ店が全国ニュースで話題になっていたが、互いに助け合う取り組みに共感した人たちによってさらに助け合う好循環が生まれた。9位にランクインしたのは、伊勢でもコロナ退散祈願の花火が打ち上げられたニュース。
そんなコロナ禍でも、新しい店舗をオープンさせたニュースも注目された。4位のチーズテリーヌ専門店「KURATA(クラタ)」(多気郡多気町)は、オープン以来好調で、ネット販売は来年4月まで、店頭受け渡しは来年5月まで予約でいっぱいの超人気店に。7位の「五桂池ふるさと村」(同)に「マルシェグランマ」オープンのニュースは、三重県商工会連合会(津市栄町)のアンテナショップとしての位置づけ、同会の設立60周年記念事業でもある。10位のバゲットサンド専門店「Cafe Entrada」(志摩市阿児町)開店の記事は、移住組女性3人が力を合わせて地域を盛り上げようとオープンさせたニュース。
8位には、荒廃していた南伊勢町田曽白浜をきれいにして観光地にしようと取り組む「伊勢志摩観光開発」(度会郡南伊勢町)のニュースがランクインした。今ではグランピング施設などを設置し、スカイダイビングやマリンレジャーなどのアクティビティを充実させる努力を重ね、大勢の観光客が訪れる地となっている。同社はさらに、耕作放棄地となった裏山のミカン山を再生させ、4輪バギーのツアーコースを作るなどさらに魅力ある地域に発展させようと今も継続して取り組んでいる。