皇学館大学(伊勢市神田久志本町)創立百周年記念講堂で3月18日、卒業式「令和2年度 学位記・修了証書授与式」が行われた。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、毎年同会場で行う卒業式は、各学部の卒業生総代と各種表彰者だけの参加にとどめ、式典も簡素化し静かに行われた。卒業生や教職員らは全員マスク着用し式典に臨んだ。恒例の伊勢神宮参拝は2年連続で中止となった。
本年度の卒業生は、学部生682人(文学部333人、教育学部248人、現代日本社会学部101人)、専攻科生(神道学専攻科)15人、大学院生7人の計704人。
各学部の卒業生総代は、河野訓(さとし)学長から修了証書を手渡されると、深々と頭を下げ修了証書を受け取った。
恩賜(おんし)奨学賞を受けた、伊勢市出身で文学部国史学科の服部萌さんは広島県福山市の会社に就職が決まった。「大学では日本の学問や思想の歴史について研究した。本居宣長を探求し、大和心(やまとごころ)の大切さについて深く学んだ」と話す。
大宮司賞を受けた菰野町出身で教育学部教育学科の松岡奈々夏さんは鈴鹿市の小学校の教師に。「コロナ禍においてICTを活用した教育の在り方を実習で実践した。教科ごとで教育の質を高める授業を目指していきたい」とほほ笑む。
同じく大宮司賞を受けた名張市出身、現代日本社会学部現代日本社会学科の杉村真子さんは「4年生の4月はオンライン授業だった。ゼミの旅行などが中止になった。社会福祉、精神保健福祉について学んだ。してあげることももちろんだが、その人の持っている力を引き出すことの大切さを学んだ。地元で生かしていきたい」と意欲を見せる。
河野学長は「コロナ禍で思い通りにならなかったことがたくさんあったと思うが、今日ここに集まった皆さんはどんなことがあっても自分の力を尽くし、周りの人々、世界、日本あるいは多くの人々のために尽くし自分の本来を明らかにしてほしい。感謝をする気持ち、謙虚な気持ちを忘れないでほしい」と祝辞を述べた。
同大は、毎月欠かさず学生や教職員らが貸し切りのバスに乗り集団で、伊勢神宮への参拝を行っていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため昨年2月11日の建国記念の日以降、集団参拝を行っていない。