三重大学(津市)大学院生物資源学研究科の「三重大学水産実験所」(鳥羽市小浜町)が完成し4月16日、同施設の開所式が行われた。
昨年4月に新しく移転したばかりの「鳥羽市水産研究所」(同)の隣に完成した同施設は、小浜漁港内にある鳥羽市の持つ用地に建設。鳥羽市水産研究所から海水を組み上げるポンプなどを共有するなどしてコストを抑えた。軽量鉄骨2階建てで、延べ床面積約570平方メートル、敷地面積約1300平方メートル。総工費は約2億5,000万円。
英虞湾に浮かぶ離島・座賀島(志摩市志摩町)で1978(昭和53)年4月から研究を行ってきた水産実験所が老朽化し、防災面でも不安があることなどを理由に移転。同大大学院生物資源学研究科「付属紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター」の付帯施設として位置付け、伊勢志摩地域にある三重県の水産研究所(志摩市浜島町)、国の増養殖研究所(度会郡南伊勢町)、名古屋大学の臨海実験所(菅島町)、鳥羽商船高等専門学校(池上町)、海の博物館(浦村町)、鳥羽水族館(鳥羽)、ミキモト真珠島(同)、御木本製薬(伊勢市黒瀬町)などとの連携を強化する。
開所式には、三重大学学長の伊藤正明さんをはじめ、鳥羽市長の中村欣一郎さんら約40人が出席し、同施設の完成を祝った。
水産実験所所長には二枚貝を専門に研究する古丸(こまる)明さんが就任。教授に伊勢エビを専門に研究する松田浩一さん、准教授にはデータ解析に詳しい岡辺拓巳さん、助教に産学官連携を推進する山本康介さん、大学院生としてナマコの研究に取り組む木藤(きとう)裕也さんの4人が当面常駐する。
同大大学院生物資源学研究科長の奥村克純(かつずみ)さんは「水産、海洋研究の拠点として、世界的な研究でトップとなり、連携による研究成果で模範となるように取り組みたい」と話す。
古丸さんは「まずは、気温や水温、地形などとプランクトンの種類や量などの相関関係などを数値化できるように取り組んでいきたいが、それにはコストがかかる。少しずつ、実績を重ねながらさまざまなデータを蓄積し、海洋資源の安定供給につながる研究成果を提供していきたい」意欲を見せる。