大型商業リゾート施設「ヴィソン(VISON)」が7月20日、多気郡多気町にグランドオープンした。
開発面積54ヘクタール、敷地面積約119ヘクタールの「ヴィソン」は、産直市場や飲食店15店が並ぶ「マルシェ ヴィソン」、スイーツやパンを提供する「スイーツ ヴィレッジ」、コーヒー専門店「猿田彦珈琲(コーヒー)」、木と森の体験をテーマにした「kiondo(キオンド)」、「本草(ほんぞう」をテーマにした温浴施設「本草湯」や研究所、日本料理店「笠庵(かさあん) 賛否両論」が入居する。
グランドオープンでは、宿泊施設「ホテル ヴィソン」、食べ物に関する道具などを展示した博物館「KATACHI museum(カタチミュージアム)」(入館料1,000円)をメインとした「アトリエ ヴィソン」、みそ、しょう油、みりん、だし、酒の日本の伝統食材を製造する企業が集結し、和をテーマにした飲食店や製造販売店、物販店などが並ぶ「和ヴィソン」、スペインのサンセバスチャン市との連携で実現したスペインの飲食店3店などが並ぶ「サンセバスチャン通り」、農園レストラン「nouniyell(ノウニエール)」と約0.9ヘクタールの農園など、約70店が営業する。
「ホテル ヴィソン」は、1棟ずつが離れて独立して建ち、露天風呂や縁側、庭園などが付帯する6棟のヴィラ(1室朝食付き75,200円~)と、山の斜面に建ち施設の全貌が眼下に見える5タイプの客室計155室(同26,400円~)のホテル棟からなる。ヴィラには茶道家・千宗屋さん監修の「茶室付きヴィラ」(同80,000円~)や愛犬と泊まれる「ドッグヴィラ」(同88,000円~)を用意する。「サンセバスチャン通り」などの店舗の2階部分を宿泊施設にした「旅籠(はたご)ヴィソン」全40室も 8月10日のオープンを控える。
宿泊施設の運営は、「住友林業」(東京都千代田区)と「H.I.S.ホテルホールディングス」(東京都港区)、「アクアイグニス」(東京都中央区)の3社が出資する「ヴィソンホテルマネジメント」(多気郡多気町)が担当する。
「KATACHI museum」は萬古焼をテーマとする美術館「BANKO archive design museum」(四日市市)を開館する陶芸家で造形作家の内田鋼一さんが世界中を歩いて探し当てた調理道具を展示する。
広域伊勢志摩圏内からは、「サンセバスチャン通り」に伊勢神宮内宮(ないくう)前にあるプリン専門店「伊勢プリンの鉄人」が2号店を、電動キックスケーターや電動自転車などを貸し出すレンタルモビリティ・カフェ「raf(ラフ)」は地元多気町から、「和ヴィソン」に伊勢たくあん・漬物を製造する「林商店」は伊勢市から、カフェ「cafe Tomiyama」、豆腐店「嬉野とうふ のせ」、鰹節蔵「伊勢和(いせわ)」、しょう油・しょう油蔵「伊勢醤油本舗」は松阪市から、それぞれ出店を決めた。「あずきバー」などを製造販売する井村屋(津市)は和菓子店「菓子舗 井村屋」と日本酒・日本酒蔵「福和蔵(ふくわぐら)」の新業態2店を出店した。
「ヴィソン」は、施設の開発・運営を「イオンタウン」(千葉県千葉市)、地域の自然資源を活用した健康施設を「ロート製薬」(大阪府大阪市)、食・リゾート分野を「アクアイグニス」(東京都中央区)、金融スキームを「ファーストブラザーズ」(東京都千代田区)が担当し、4社による合同会社「三重故郷創生プロジェクト」(東京都千代田区)を設立。4社のノウハウを集結し、三重県や多気町、三重大学と共に産学官連携でプロジェクトを推進。全国初の民間施設直結のスマートインターチェンジ(上り線出口)も開通させた。今後、広域連携による生活者中心の新たな地方創生への挑戦を目指す「三重広域連携スーパーシティ構想」の実現への取り組みを多気町とその周辺の5町(明和町、大台町、度会町、大紀町、紀北町)計6町とで取り組んでいく。
グランドオープンに合わせて、これまで無料だった駐車場が有料になる。約2000台収容可能な駐車場にはナンバープレートを自動認識するカメラを町道に2カ所ある環状交差点(ラウンドアバウト)にそれぞれ1台ずつ設置し、カメラで車両ナンバーを認識すると退出するまでの時間を計算する。各駐車場エリアに精算機を計18台設置、乗ってきた車のナンバーを打ち込むと支払金額が表示され精算するシステムになっている(現金、クレジットカード、電子マネー利用可)。1時間=200円、24時間=最大1,000円、1店舗あたり支払金額により割り引く(1,000円以上1時間、2,000円以上2時間、3,000円以上6時間が無料になる)。
同施設運営会社の「VISON多気」(多気郡多気町)と「アクアイグニス」の社長を兼務する立花哲也さんは「多気町の久保町長より8年前に地域の薬草や生産物を使って何か施設ができないかと声掛けいただき計画がスタートした。施設には木材をたくさん使い、伊勢神宮にならい、傷んできたら修繕する仕組みを作り長く継続維持できる施設を目指した。レジ袋を無くしてエコバッグを使う、自動販売機を置かない、などSDGsを意識した運営を目指している。コロナ対策をした上で多くの人に来ていただければ」と話す。