北極冒険家の荻田泰永さんと日本各地から集まった小学6年生8人が伊勢を出発し、京都までの約170キロの道のりを11日間かけて完歩した。

　荻田さんは2016（平成28）年、カナダのグリスフィヨルドからグリーンランド最北のシオラパルクをつなぐ1000キロの世界初の単独徒歩、2018（平成30）年1月に日本人初の「南極点無補給単独徒歩到達」に成功。22歳の時に冒険家に連れられて北極圏を歩いたことで人生が変わった自身の経験から、子どもたちにもっと身近なフィールドで冒険を体験してもらおうと、2012（平成24）年から「100マイルアドベンチャー」を実施している。日本各地から集まる小学6年生8人と100マイル（160キロ）をキャンプしながら踏破する冒険の旅で、今年で11回目。

　北海道や静岡県などから集まった8人とスタッフ6人は7月28日、「伊勢神宮外宮（げくう）」を参拝し、旅の安全を祈願した。「せんぐう館」を見学後、伊勢神宮別宮の「月夜見宮」を参拝し、約10.6キロを歩き「たまき水辺の楽校」（玉城町）へ。その後、「ふれあいの森 勢山荘」（多気町）、「WOODs LAND Mio キャンプ場」（津市）、「サンビレッジ曽爾奥香落オートキャンプ場」（奈良県曽爾村）、「平成榛原子供のもり公園キャンプ場」（宇陀市）、「田原やま里市場・奈良県立野外活動センター」、東大寺を経由し「黒髪山キャンプフィールド」（以上、奈良市）、「青少年野外活動総合センター友愛の丘」（京都府城陽市）でそれぞれキャンプを行い、最終目的地の「京都駅」まで合計171.4キロを11日間で歩いた。

　荻田さんは「知らない世界を知ることで得られる感動、多様な世界の姿、小さな一歩を重ねていくことで遠くのゴールにたどり着く喜びを、未来を担う子どもたちに経験してほしいと思い実施している。少人数、長期間で子どもたちと歩き旅を行うことでチームが次第に家族のようになり、目的遂行のための一体感が出来上がる。子どもにとっての初体験は、親にとっても11日間旅をさせる初体験になる。当たり前なことが当たり前ではなかったことに気付くきっかけになれば」と話す。

　荻田さんたちスタッフは、8月11日に京都駅を出発し、21日までの11日間で「植村直己冒険館」（兵庫県豊岡市）までの170.4キロを完歩する第2ルートを新しく加わった小学6年生と挑戦中。