近鉄の観光列車「つどい」を今春から、サイクルトレイン「KettA(ケッタ)」に仕様を変えて運行するのを前に3月4日、無料試乗会と披露イベントが賢島駅(志摩市阿児町)で行われた。
「KettA」は、東海地方で自転車のことを方言で「ケッタ(マシーン)」ということから命名。自転車を輪行袋に入れることなく折り畳まずに乗車できるサイクルトレインで、志摩市の「鉄道利用促進事業」の助成を受けて実施する。
2000系電車3両を改造した「つどい」(2013系)。1号車には窓を向いた座席、2号車にバーカウンターやイベントスペース、3号車にはキッズスペースなどを設置した観光列車でこれまで、海女(あま)さん列車や足湯列車、ビール列車として運行してきた。今回のサイクルトレイン仕様では、2号車に取外し可能なサイクルスタンド(自転車設置可能台数最大23台分)を設置し、自転車をそのまま車内に積載できるようにした。今後、春と秋のサイクリングに適した季節に近鉄名古屋、大阪上本町駅~賢島駅を中心に沿線各地で運行を予定する。
賢島駅では、到着式、志摩市観光協会によるあおさ汁のふるまい、志摩市ゆるキャラ「しまこさん」によるお出迎えがあった。同協会の西尾新会長は「横山展望台で英虞湾やサクラを見て、大王埼灯台、志摩町のパールブリッジ、御座の爪切り不動尊、旧道から観光協会が運営する海女小屋風飲食店『さとうみ庵』、和具の観音堂、和具港から船で賢島に戻るコースがおすすめ」とPRする。
一緒にKettAに試乗したロードレース元日本代表で中島康晴さんは「サイクルトレインは全国的に増えている。現在ローカル線を中心に50カ所近くで走っていると思うが、KettAのように都心部から運行するものは珍しい。輪行袋に入れて電車に乗ると、自転車を分解するのに20分、組み立てるのに20分、計40分余分に時間がかかってしまうことを考えると、そのまま乗車できるサイクルトレインはとてもありがたい。『つどい』は途中駅から乗車できるので、その度に自転車好きが集う感じがとてもいい」と話す。
ロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイク以外の自転車、タイヤ径20インチ未満、29インチ以上、タイヤ幅40ミリ以上、重量15キロを超える自転車などは積載できない。
試乗会は、7時26分近鉄名古屋駅発、10時59分賢島駅着、16時7分賢島駅発、19時49分近鉄名古屋駅着。近鉄四日市、津、五十鈴川、鳥羽、志摩磯部、鵜方に停車。5日にも行われた。