「伊勢角屋麦酒(カドヤビール)」(伊勢市神久、TEL 0596-63-6515)が6月7日、限定醸造のクラフトビール新商品「Crescent Harmony Sour(クレセントハーモニーサワー)」の販売を始めた。
「イセカド」の名で親しまれている伊勢角屋麦酒。ビールを醸造する「ブルワー(=ビール職人)」には、社長の鈴木成宗(なりひろ)さんとブルーマスターの出口善一さんをはじめ、谷水和輝さん、瀬田一帆さん、山宮拓馬さんの5人に、2022年4月入社の髙崎廉さんが今回初めて加わった。
新商品は、髙崎さんのデビュー作。アルコール発酵と同時に乳酸も作ることができるラカンセア酵母を使った。髙崎さんは「ラカンセア酵母の特徴のモモのような香りと、ネルソンソービンホップの特徴の白ブドウのような香りが、共にハーモニーを奏でる爽やかな酸味のサワービールに仕上がった」と話す。アルコール度数は約5.5%、ビールの苦味を表すIBUは25。
神戸市出身の髙崎さんは、徳島大学と同大学院でビール酵母、特に野生酵母について研究。入社後の8月から今年2月までの期間、同社と東京大学との共同研究プロジェクト実行のため同大研究室に出向。新商品は出向から戻ったすぐの2月からレシピを考え、先輩ブルワーのチェックを受け、今年4月に約4000リットルを仕込んだ。
鈴木社長は「フィリーサワーははやりのスタイルということもあり、ビールの審査員をしていると時折口にするが、国産のフィリーサワーではおそらくこれがピカイチ。廉はラカンセアを知り尽くしているだけあって、この少々面倒な酵母を実にうまくコントロールした。ネルソンソルビンの上品なアロマとのバランスを感じてほしい」と自信を見せる。
髙崎さんは「イセカドでブルワーとして認められるには、『醸造の専門知識に精通していること』『自分のレシピが社内で認められること』が条件。商品名に付けたクレセント=三日月はブルワーへの第一歩を踏み出し、満月のように大きく成長するぞという思いを込めた」とも。
価格は、330ミリリットル入り=748円。