伊勢神宮のお神札（ふだ）に使う和紙を製造する大豐（たいほう）和紙工業（伊勢市大世古）が2月25日、インクジョットプリンター対応の「伊勢和紙」シリーズに新たに「白銀」を発売した。

【その他の画像】「伊勢和紙」シリーズに白が際立つ「白銀」

　同社は伊勢神宮のお神札を全国家庭へ頒布するための和紙を製造することを目的に1899（明治32）年、「神都製紙」として創業したのが始まり。工場敷地内には伊勢和紙などを販売する「伊勢和紙館」、伊勢和紙にプリントした写真展などを開くことができる「伊勢和紙ギャラリー」を併設する。

　伊勢和紙シリーズは、インクジェットプリンターの高性能化と普及によって、印刷の可能性が広がり、美しく出力できるようになったことを受けて規格化した商品。手紙やパンフレットなど文字印刷用に「伊勢和紙Light」、印刷のほか手書きやクラフト用に「伊勢和紙Art」、写真のプリント用に「伊勢和紙Photo」と、用途に合わせて、サイズや厚さの異なる紙を用意。紙の色には「雪色」「とりのこ色」「平織り目」「優美」などをそろえる。手すきの伊勢和紙には、目的に応じてコウゾ、ミツマタ、ガンピ、バショウを原材料に配合。粘剤にはトロロアオイの根から抽出する天然の粘材を使う。

　2022年12月に社長に就任した中北喜亮（なかぎたよしあき）さんは「伊勢神宮のお神札の品質を未来永劫（えいごう）保つために、原材料の調達のため世界の環境変化にも注視し、その都度取り寄せ試作を重ねている。今回、和紙業界の常識を打ち破り、通常は使わない広葉樹を使ったところ白が際立ち素晴らしい伊勢和紙が完成したので商品化した。短繊維広葉樹と長繊維針葉樹の比率は3対1」と説明する。

　中北さんは「新商品の『白銀』は、生成りから白系の色合いを持つ同シリーズの中でも白色で、色乗りもよく高精細に印刷できる。180マイクロメートルと270マイクロメートルの厚さを用意した。伊勢和紙の特性を生かした柔らかな優しい印象の作品に仕上げていただければ」とも。

　価格は、伊勢和紙Art（180マイクロメートル）＝2L（20枚入り）550円、A4（10枚入り）616円、A3（同）1,243円、伊勢和紙Photo（270マイクロメートル）＝2L（20枚入り）946円、A4（10枚入り）1,100円、A3ノビ（同）2,827円、A2（同）5,654円。伊勢和紙館、オンラインショップで販売する。