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伊勢神宮、次期式年遷宮「遷御」を2033年秋に 来春から関連行事始まる

伊勢神宮、次期式年遷宮「遷御」を2033年秋に 来春から関連行事始まる(撮影=岩咲滋雨)久邇朝尊神宮大宮司から発表

伊勢神宮、次期式年遷宮「遷御」を2033年秋に 来春から関連行事始まる(撮影=岩咲滋雨)久邇朝尊神宮大宮司から発表

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 神宮司庁は4月9日、次の式年遷宮の準備を進めることを天皇陛下より正式に許可を得て、ご神体を新しい正殿へ移す最も重要な儀式「遷御(せんぎょ)の儀」を2033年秋に行うことを報道関係者に発表した。

【その他の画像】伊勢神宮で記者会見 次期式年遷宮の準備 久邇朝尊神宮大宮司

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 久邇朝尊(くにあさたか)神宮大宮司は「今年1月22日に天皇陛下にお会いした際、『ご遷宮の準備が滞りなく進むことを願う』とお言葉を頂き、4月8日皇居で、その具体的な内容について西村泰彦宮内庁長官から正式に御聴許(ごちょうきょ)の旨を賜り、神宮大宮司において取り進めることとなった。前例によると来年の春には御用材を切り出す『御杣山(みそまやま)』を陛下にお定めいただき、遷宮の最初の祭典となる『山口祭』『木本祭(このもとさい)』を行うことになる。今後30に及ぶ祭典や行事を重ね、令和15年秋の遷御を目指して準備を進めていく」と発表。

 続いて同庁総務部副部長で禰宜(ねぎ)の立野智洋さんから「祭典の主宰者である天皇陛下の式年遷宮ご遂行のお考えを体し、神宮大宮司の責任において準備を進めることになる。今後『神宮式年遷宮準備委員会』を設け本格的な準備に着手する。予算については国内外の社会情勢が不透明で人件費の高騰、物価高であることから建設費や装束・神宝の調整など伝統技術継承にかかる経費は増加する一方、前回の遷宮で新しく建設した『山田工作場』や『せんぐう館』などにかかった経費分を差し引き、できるだけ経費を抑える努力を重ね、前回の式年遷宮でかかった約558億円程度の予算になるのではと試算を進めている。御用材の総材積は約8500立方メートルで、前回の実績に基づき木曽ヒノキと神宮の宮域林産のヒノキを用いる予定をしているが、将来の遷宮に備えて1923(大正12)年から進めている200年計画の宮域林のヒノキの植林・造林により、前回は宮域林から約24%の木材を使ったが、今回は前回よりも多く供給できると想定。20年間使われた社殿の木材は遷宮後全国の神社へ譲与している」と概要説明があった。

 式年遷宮は20年に一度、伊勢神宮の社殿を建て替え、装束、神宝などを新しくして神様を新殿に移す行事。第40代天武天皇が定め、持統天皇の4年の690年に内宮(ないくう)で第1回式年遷宮が行われた。戦国時代の約120年中断され、太平洋戦争後4年延期されたが1300年もの歴史を持ち、今日まで62回を数え、社殿などが新しくなるだけでなく、さまざまな儀式や匠(たくみ)による伝統の技が受け継がれている。地元住民参加のご用材を運ぶ「お木曳(ひ)き」や社殿の周りに敷き詰める石を運ぶ「お白石持ち」など、地域との関わりも大切にしている。前回は、2005(平成17)年に行事が始まり、2009(平成21)年に新しく宇治橋が架け替えられ、2013(平成25)年10月2日に内宮、同5日に外宮(げくう)で「遷御の儀」が執り行われた。

 同庁広報室次長で神宮参事の音羽悟さんは「予算について、前回掛かかった558億円という数字が一人歩きしてしまうことで、そこを目標にして予算が決まっていくことを懸念している。できるだけ節約し経費を切り詰めながら遷宮行事を進めていく。時代の中で変えなければならないものと変えてはいけない精神的な支柱を上手に使い分け伝統を守っていくことが大切。日本茜の染料を使うことなど古代の技術が廃れようとしていることへの危機を重く受け止め、特に伝統技術の継承については予算を削ることを優先とせず、前回以上に力を入れていきたい」と話す。

 久邇大宮司は「責任の重さと使命の重大さに身の引き締まる思い。国民の皆さまの深いご理解と絶大なるご奉賛を賜るよう、切にお願い申し上げます」と呼びかけた。

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