伊勢志摩で最も高い朝熊岳(あさまだけ)の山頂付近まで自動車で上ることができる観光有料道路「伊勢志摩スカイライン」を運営する三重県観光開発(津市)は6月18日~21日、特別に早朝3時30分からゲートを開けている。
夏至の日前後に、朝熊岳山頂から見ると富士山の右肩に当たる宝永山から朝日が現れる絶景を撮影することができる。伊勢志摩から富士山までの直線距離は200キロメートル以上。
18日は雲が厚く、富士山も朝日も見ることができなかったが、一瞬神島の上空に雲の隙間からオレンジ色の光が輝いた。19日は地上付近に雲があったため富士山は見ることができなかったが、雲を抜けると朝日が輝き、鳥羽湾の多島風景が美しく際立った。
20日は地上付近に雲がなく、肉眼では確認できないが、カメラを使って長時間露光撮影すると、富士山の輪郭がくっきり確認できた。4時41分、多くのカメラマンが雲に遮られて朝日が出るのを諦めかけたころ宝永山の突起から強い光が現れ「おー来たー」と誰かがつぶやくと一斉にシャッター音が響いた。太陽の光がバックライトになって富士山の美しいシルエットがくっきりと現れた。この日は海水面に霧が発生していたため頂上からは雲海のように見え神島が雲の上に浮かんでいるように見え幻想的だった。
21日は太陽が最も北(左)よりになる夏至だが、天気予報は雨。カメラマンの一人が「雨だと分かっていてもここ展望台に上がってみないと分からない。それでも1年のうちのこの4日間しか車で上ってこられないので、来るかどうか非常に悩んでいる」と話す。
朝熊岳は、「伊勢神宮の奥の院」または「伊勢神宮の鬼門(北東=丑寅)を守る寺」として昔から伝えられる金剛證寺(こんごうしょうじ)が標高500メートルの地に立つ。欽明天皇の頃(540年~)に暁台上人によって開山。平安時代825年に弘法大師空海が真言密教修行の大道場を開き発展させたが、その後衰退。1392年に建長寺(神奈川県鎌倉市)の仏地(東岳文昱)禅師が再興し、真言宗から臨済宗に改宗し現在に至っている。本尊は、日本三大虚空蔵菩薩(ぼさつ)の第1位に位置付けられる「福威智満虚空蔵大菩薩(ふくいちまんこくうぞうだいぼさつ)」。6月27日~29日は、同山を再興した仏地禅師の命日(6月29日)を祭る開山忌が開催される。
通行料金は、自動二輪車=880円、軽・小型・普通自動車=1,250円。5月~8月の通常の開門時間は6時~20時。