鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽、TEL 0599-25-2555)が10月16日、飼育開始から7年越しで自家繁殖に初成功したイヌガエルの一般公開を始めた。
アカガエル科に属し成体の体長約8センチのイヌガエル。中国南部・台湾からベトナム中部の里山や山間部の溜め池、湿地帯などに広く生息する。鳴き声がイヌのように「ワン」と聞こえることからその名が付いた。
同館では2013(平成25)年8月からイヌガエルの飼育展示を開始。今回繁殖に成功したイヌガエルは2019年に同館飼育員が台湾で調査を行った際に、現地の専門家から16匹を譲り受け飼育していた個体という。
同館飼育研究部の三谷伸也さんは「イヌガエルの繁殖には、気温の変化や雨、湿度など現地の自然環境に近い環境を整えることが必要。前回できなかったので今回は繁殖を目指して飼育をしていた。今年7月初旬、雄のカエルが頻繁に鳴くなどの繁殖行動が見られ、7月18日にバックヤードの水槽の中で産卵しているのを確認。翌19日にはふ化が始まり、その数日後に遊泳するオタマジャクシの姿を確認した。成長し子ガエルとなった現在の体長は2~3センチで、約40匹が元気に育っている」と話す。
三谷さんは「日本のどこにでもいるカナヘビやアマガエルなども、飼育下で繁殖させようとしてなかなかできないのと同じように、飼育下のイヌガエル繁殖もとても難しいものだった。地味なカエルでどこの水族館でも飼育展示していないため、国内の水族館による飼育繁殖の成功事例としては初」とも。
現在、繁殖に成功したイヌガエルの子ガエル約10匹は同館の「奇跡の森ゾーン」で公開している。親ガエルは「へんな生きもの研究所」で公開している。
営業時間は9時~17時。入館料は、大人=2,500円、小人=1,300円、幼児=600円。