伊勢志摩の温暖な気候を利用して果物のドラゴンフルーツを栽培する西岡ファーム(志摩市志摩町)で現在、早朝に大輪の花が付くドラゴンフルーツの人工授粉作業に追われている。
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「ピタヤ (pitaya)」、漢字で「火龍果」と表記されるドラゴンフルーツ。サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテンで、中南米の熱帯雨林地方が原産。10~15センチほどの大きさの果実が竜のうろこのような果皮をしていることからドラゴンフルーツと名付けられた。
ドラゴンフルーツの栽培を始めたきっかけについて、西岡ファームの西岡郁子さんは「娘が沖縄に嫁ぎ、孫ができた報告にサボテンが送られてきた。大切に育てていたらとてもきれいな大輪の花が咲いた。娘と孫のようにさらに大切に育てていたらドラゴンフルーツになった。うれしくなってサボテンを切って挿し木して育てていたらどんどん増えていった」と話す。
その後、温度や湿度管理のできる栽培ハウスを自作し、志摩の海岸に打ち上げられる海藻を肥料にするなど、試行錯誤を繰り返し、フルーツとして販売できる品質に至ったという。現在、近隣の宿泊施設からの注文やドライフルーツ加工業者からの注文のほか、産直市場の鳥羽マルシェ(鳥羽市鳥羽)への納品やネットショップからの注文販売に追われているという。
西岡さんは「ドラゴンフルーツの花は月下美人のように深夜から早朝にかけて花を付けるので、人工授粉するには朝早く起きて作業をしなければならない。授粉して1週間くらいすると赤く大きな実に成ってくれる。スーパーなどで販売している輸入物のドラゴンフルーツは完熟したものを取らないので甘さをあまり感じないものが多いが、当ファームでは完熟したものを出荷するので甘くておいしいと思う。伊勢志摩でドラゴンフルーツを作っていること、完熟のドラゴンフルーツがおいしいことを多くの人に知ってもらいたい」とほほ笑む。
実が白肉色のホワイトドラゴン、赤紫色のレッドドラゴンなど11月まで人工授粉と収穫が続く。