伊勢の写真家・森武史さんの写真展「熊野修験(しゅげん)」が2月26日、伊勢和紙ギャラリー(伊勢市大世古)で始まった。
1957(昭和32)年、度会郡玉城町生まれの森さんは、1980(昭和55)年に大阪芸術大学写真学科を卒業。1994年にフリーカメラマンとして独立。1999(平成11)年に熊野古道写真集「くまのみち」、「熊野古道」がユネスコ世界遺産に登録された2004(平成16)年にDVD熊野写真集「祈り天空に満ちて」、2013(平成25)年に伊勢神宮写真集「神宮の森」、昨年9月に熊野修験者と修行をしながら撮り続けた20年間の集大成となる写真集「熊野修験」などを発刊。2008(平成20)年~2010(平成22)年、パリ・東京・京都・伊勢で写真展「熊野修験」を開いた。
同展は、2020年~2021年に「再興三十三周年記念写真展」として、和歌山県の「世界遺産熊野本宮館」(田辺市本宮町)、「葛城二十八宿始まりの地 加太」(和歌山市加太)と「三重県立熊野古道センター」(尾鷲市向井)の3会場で展示した作品のほか、約7割の未発表作品、計64点を展示する。
会場は、1899(明治32)年から伊勢神宮の御神札(おふだ)に使用する伊勢和紙を奉製する大豐和紙工業(同)内にある築1930(昭和5)年の木造建築の同社事務所2階のメインギャラリー。もっとも大きい作品は、高さ3.6メートルの天井を生かし、横幅約4メートル、高さ約2.666メートルのもので、長さ3.1メートル、幅0.86メートルの伊勢和紙を5枚使ってプリントした。森さんによると、10年くらい前の7月、那智勝浦出身の生熊青龍(いくませいりゅう)さんの単独修行に同行し、早朝4時30分に玉置山を出発し、7時ごろに朝日の光を受けた際に撮った一枚だという。
森さんは「1994(平成6)年から紀伊半島の自然と人を撮り始めた。『熊野修験』の撮影は、『那智山青岸渡寺(せいがんとじ)』(和歌山県東牟婁郡)当時の副住職・高木亮英(りょうえい)さん(現在は住職)との出会いがきっかけ。今回展示した作品は、高木亮英さんの息子さんで同寺副住職の高木智英さんらと共に新しく熊野修験を引き継ぐ人たちにクローズアップした。すべての作品を伊勢和紙にプリントして仕上げた」と話す。
会場では、森さんと熊野修験先達の花井淳也さんの対談を収録したビデオも上映する。
開館時間は9時30分~16時30分、開催期間は3月27日まで。休館は3月6日、13日、20日。