謎のダイオウグソクムシ、絶食1700日越え-鳥羽水族館で4年8カ月

謎のダイオウグソクムシ、絶食1700日越え-鳥羽水族館で4年8カ月

謎のダイオウグソクムシ、絶食1700日越え-鳥羽水族館で4年8カ月

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 鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)で飼育展示中の謎の深海生物「ダイオウグソクムシ」の餌やりが9月1日にあったが、10匹中どの個体も食べなかった。担当の森滝丈也飼育員を最も困らせているのは、1703日(4年8カ月)間何も食べていない「No.1」だ。

1703日間絶食を続けるダイオウグソクムシを心配そうに見つめる森滝さん

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 「No.1」の絶食が世に知れ渡ったのは昨年の11月9日の伊勢志摩経済新聞の記事。その時点で1400日以上絶食していることが話題となり、同水族館のサーバーはダウン。丸一日インターネットに接続できない状況が続いた。その時ダイオウグソクムシを飼育していた新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)のサーバーも同様にダウンし余波を受けた。その後、関係者の心配をよそに4年間の記録を難なく樹立し、5年間の絶食記録も楽にクリアしそうな「勢い」だ。この日も餌やりが始まる前から「全く食べる気がしない」と、根拠のない自信が関係者の心の中に漂った。

 同館では現在2007年9月9日入館の「 No.1」 と「No.5」 、今年1月26日入館の「No.7」、同年7月19日入館の「No.10・12・13・14・15・16・17」(「No.11」は8月9日絶息)計10匹を飼育展示する。今年7月13日にはダイオウグソクムシをシンボルに「変な」生きものを集めた新コーナー「へんな生きもの研究所」を開所、夏休みの目玉施設として力を入れ、子どもたちからも大いに人気を博した。

 「No.1」は、2009年1月2日に約50グラムのアジ1匹を、「No.5」は2012年12月4日にツバスの切り身を食べたのが最後。そのほかはどの個体も餌を食べていない。今や、ダイオウグソクムシが捕食するシーンは「お宝映像」となっている。

 この日、閉館後のダイオウグソクムシの水槽前には森滝さんと同館広報担当者、メディア関係者が集合。17時58分、森滝さんがマサバの切り身を投入すると、その2分後に「No.17」が活発に動き出した。続いて「No.13」と「No.15」が腹部にある腹肢を上下させるが体は全く動かず。「No.17」は魚の臭いに興奮、さらに約1トンの水量がある水槽を縦横無尽に遊泳、果ては全く動こうとしない「No.1」に背中からダイブして驚かせたがそれでも「No.1」は反応無し。そして再び静かになった…。18時25分、今度はサンマの切り身を投入するがこれといった反応も無く、水槽の中央にマサバとサンマの切り身だけがむなしく置かれた状態に。最後の手段として「No.1」を棒で動かし口元に餌を近づけたが食べる気配はなく、19時5分に終了となった。

 森滝さんは「残念。何と言っていいかわからない」と複雑な様子で困惑する。

 同館は8月24日、水槽の照明を赤に変え擬石を入れた。ホワイトボードに「今日のフォーメーション」として水槽の中の10匹がそれぞれどこにいるか一目で分かるようにした。今年8月の同館の入館者数は16万7795人を記録、前年同月(14万3073人)よりも2万4722人も増加した。「伊勢神宮の式年遷宮効果なのか、ダイオウグソクムシ効果なのかはわからない」と同館広報担当者。

 開館時間は、3月21日~10月31日=9時~17時、11月1日~3月20日=9時~16時30分。入館料は、大人=2,400円、小人=1,200円、幼児(3歳以上)=600円。

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