食べる 買う 暮らす・働く

伊勢に海鮮丼とわら焼きの飲食店「想」 店主は地魚さばく心理カウンセラー

伊勢に海鮮丼とわら焼きの飲食店「想」 店主は地魚さばく心理カウンセラー

伊勢に海鮮丼とわら焼きの飲食店「想」 店主は地魚さばく心理カウンセラー

 伊勢の宮川に架かる度会橋のたもとに4月18日、海鮮丼とわら焼きの専門店「想(そう)」(伊勢市中島町、TEL 0596-72-8377)がオープンした。

限定7食の「ミニ海鮮丼と幸せの八寸」(2,500円)はお世話になった人に食べてもらいたいと思って作ったメニュー

[広告]

 たい焼き専門店「たい焼きの宮 宮川店」隣に位置する同店。看板には「おめでたい」ようにと目をクリクリと大きく描いた「桜鯛」をデザインし、隣店のたい焼きの「鯛」と併せて掲げた。

 店主の細木秀一さんは、「鳥羽一番街」で50年近く続いた父が経営する繁盛店「秀丸」(鳥羽市)で20年以上、板前として腕を磨いた。父は皇室も訪れる和食店などで修業を積んだ料理人で、細木さんも辻調理師専門学校(大阪市)を卒業し、父と同じ道に進んだ。「(秀丸では)忙しい時には朝から晩まで200匹以上の魚をさばいていた」と細木さん。秀丸を継ぐことも考えたが、契約更新のタイミングで昨年3月に惜しまれながら閉店、独立の道を選んだ。

 独立の道への転機となったのはコロナ禍。秀丸でも客足が途絶え、仕入れた魚を廃棄せざるを得ない状況に直面した際、魚の血を完全に抜くことで保存性を高め、寝かせることで旨(うま)みを引き出す熟成技術を独学で習得。

 細木さんは「あえて寝かせることで魚本来のねっとりとした旨味を引き出し、個性が強すぎて敬遠されがちな地魚も、適切な下処理を施せば驚くほどおいしくなることに気がついた。地魚の可能性をもっと引き出し、多くの人においしさを知ってほしいと思い独立を決意した」と話す。

 「想」で提供するメニューは、伊勢志摩産の地魚を載せた「想の海鮮丼」(1,700円)、要予約の「極み海鮮丼」(4,500円)、「季節の海鮮丼 桜鯛づくし」(1,500円)、限定7食の「ミニ海鮮丼と幸せの八寸」(2,500円)、ミニ海鮮井とエビと魚のフライセット「やっぱり食べたい満腹セット」(2,000円)などのほか、「本日のお刺身」(1,500円~)、「伊勢志摩のお魚フライ」(700円)、魚を藁(わら)で焼き香り付けした「ちょっとだけ藁焼き」(900円)などの一品料理を用意する。魚は丸池水産(南伊勢町)から地元で水揚げされた新鮮な魚介類を、農薬を抑えホウネンエビが泳ぐ自然豊かな環境で伊勢市の米農家・中西金二さんが育てた「豊年エビ米」などの米を、それぞれ使用する。「稲わらから出る火と煙で、魚に芳醇(ほうじゅん)な香りを纏(まと)わせる『藁焼き』もぜひ食べてほしい」と呼びかける。

 細木さんのもう一つの顔が、日本メンタルヘルス協会(大阪市)公認の心理カウンセラーだ。飲食店経営における対人関係や家族の介護を通じた経験から心理学を学んだほか、「日本一幸せな従業員を作る」で知られる元ホテル支配人の柴田秋雄さんに師事し、「悩みは解決するものではなく、寄り添うもの」という哲学を基に、「ぬらりひょん」の名でカウンセリングも行う。

 メニュー名にも遊び心が光る。リピーター向けの日替わりメニューは「いつもありがとう定食」(1,300円)と名付けた。細木さんは「通常、日替わりを注文する際は『日替わりで』と会話も少ないことが多いが、この名前なら注文時に『いつもありがとうで』と言われるので自然と感謝が湧き、客も自分も笑顔になれる」とほほ笑む。また、気負わず立ち寄ってほしいという思いから「普通のコーヒー」(250円)や「精一杯のプリン」(300円)なども用意し、悩み相談の場としても店を開放する。

 細木さんは「当面はワンオペでの営業になるので、料理の提供に時間がかかりご迷惑をおかけしてしまうかもしれないが、温かく見守ってもらえれば」。「人も魚も、そのままで価値がある。素材の良さを殺さず、どう一皿の丼(社会)に適合させるか。料理もカウンセリングも僕の中ではつながっている」とも。

 営業時間は、ランチ=12時~14時30分、金曜~日曜・祝日のみ夜営業(17時~20時30分)も行う。木曜定休。営業日や最新情報は同店のインスタグラムで更新する。鮮魚販売も準備中。

伊勢志摩経済新聞VOTE

現在お住まいはどちらですか?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース