伊勢神宮の「神宮大麻(たいま・おおぬさ)・お神札(ふだ)」のご神体となる用材を神宮林から切り出す最初の祭典「大麻用材伐始祭(たいまようざいきりはじめさい)」が4月15日、伊勢神宮宇治橋前の山の中にある丸山祭場(伊勢市宇治今在家町)で行われた。
用材を切り出す許しを請い、作業の安全を祈願する祝詞を上げ、素襖烏帽子(すおうえぼし)姿の工匠(こうしょう)3人が神路山に向かっておのを3回振り下ろす。
この日は、早朝から小雨がぱらつく天気だったため、祭場にはテントが張られた。久邇朝尊(くにあさたか)大宮司、齊藤郁雄少宮司ほか神職、職員、関係者らが参列し祭典を見守った。
神宮大麻・お神札には、和紙で御真(ぎょしん)と呼ぶご神体を巻き中心に収めたもの。御真は、切り出した木材を製材し半年間、風雨にさらし乾燥させ、厚さ約1ミリの木地に加工。大麻が完成すると神社本庁を通して「頒布大麻」として全国の神社に届けられ頒布する。伊勢神宮で直接参拝者に授与するのは「授与大麻」。伊勢神宮では「頒布大麻」「授与大麻」合わせて約1000万体を奉製する。
元々頒布大麻は、御師(おんし・おし)が平安時代の末期、新しい神札や暦を持って全国の崇敬者に「御祓大麻(おはらいたいま)」として頒布したことが始まりとされている。明治維新後の御師制度廃止により御祓大麻も廃止されたが、長い伝統が途絶えてしまうことを心配した明治天皇によって1872(明治5)年4月1日、「神宮大麻御璽奉行式(ぎょじぶぎょうしき)」が行われ、国の平安と全国の家庭の無事、国民一人一人の幸福を祈るお神札「神宮大麻」として、伊勢神宮から直接頒布されるようになった。