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志摩市で第2回「Satoyama実践者交流会」 SDGsを里山里海で考える

志摩市で第2回「Satoyama実践者交流会」 SDGsを里山里海で考える

志摩市で第2回「Satoyama実践者交流会」 SDGsを里山里海で考える

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 昨年10月に台風19号の影響で中止になっていた「Satoyama実践者交流会」が2月23日、HOTEL&RESORTS ISE-SHIMA(志摩市磯部町)で開催された。「Japan Times Satoyama推進コンソーシアム」と志摩市の共催。

【その他の画像】志摩市で「Satoyama実践者交流会」

 同コンソーシアムは、日本総合研究所(東京都品川区)調査部主席研究員の藻谷浩介さんとNHK広島取材班の共著「里山資本主義 日本経済は『安心の原理』で動く」(2013年)を元に、お金がお金を生む経済「マネー資本主義」に依存するのではなく、海や山などの自然や人間関係、お金では買えない資産を大切にし、地方で暮らす人(地域の実践者)の手によって地域の未活用資源に新たな価値を与え、活かし、雇用を生み出し、地域の活性化を目指す新しい資本主義のあり方「里山資本主義」による実践者を支援し、発信することで、お金だけに頼らない社会、持続可能な社会の実現を目指そうと活動する。

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 同交流会は、2017(平成29)年に山口県の周防大島開催からはじまり、2018(平成30)年に広島県の神石高原町の交流会を第1回とし、今回の志摩市開催は第2回となる。

 今回は「SDGsを里山里海で考える」をテーマに、大阪府三島郡出身で志摩市に移住し海女になった新井圭織さん、2016(平成28)年にG7伊勢志摩サミットが開催された志摩観光ホテル(志摩市阿児町)の総料理長・樋口宏江さん、瀬戸内海でアマモ場の再生に取り組むNPO里海づくり研究会議の田中丈裕さん、宮城県石巻市出身でフィッシャーマン・ジャパン・マーケティング(宮城県石巻市)代表の津田祐樹さん、周防大島で取れる果物などを使って年間180種類のジャムを作る瀬戸内ジャムズガーデン社長の松嶋匡史さんらが登壇。パネルディスカッションで「海洋保護」「地産地消」の2つのテーマで話し合った。

 実践者の事例紹介では、南伊勢町でタイ養殖や漁師体験、ゲストハウスなどを運営する友栄水産(南伊勢町阿曽浦)の橋本純さんと、三重県立水産高校(志摩市志摩町)水産資源科アクアフードコースで水産物を活かした商品開発を地元企業と行い3年間で約770万円を売り上げたチーム「ボニータ」に所属する高校生3人がそれぞれ登壇、これまでの活動や成果などをプレゼンした。

 海洋保護について、新井さんは「6年前に志摩市で海女になれることがわかり移住した。海底に溜まったゴミを拾ったり、洗剤をできるだけ使わないようにしたりするなど最低限できることをやっている。海女という仕事はとても良い仕事なのでこれからも続けていけるように資源を管理しながら持続可能な自然環境を意識して行動していきたい」、田中さんは「子どもたちに目を向け里海で海洋教育をしていくことが大切。子どもたちから教えてもらうことはたくさんある」と話す。

 国連大学サステイナビリティ高等研究所プロジェクトリーダーの瀧口博明さんは「SDGsは、結局は小さなコミュニティーから始めるしかなく、地域単位、コミュニティー単位で起こしていくのだとあらためて思った。14番が海、13番が気候変動だが、海だけに限らずSDGsの全17のゴールを意識して行動していかなければならない」、津田さんは「SDGsを意識し、全国で同時多発的に(目標達成に向けて)行動を起こさなければならないと感じた」と話す。

 地産地消をテーマに話し合った樋口さんは「作る人の思いを知りたいと思い、生産者の現場に行き話を聞くようにしている。話を聞くと気付くことがたくさんあり、さらに食材を大事に使いたいと思うようになる。生産量の少ないものや、今だけしか無いものは、今しか食べることができないと、希少性を伝えることで反対にそれが価値になる」、愛農学園農業高校教諭の近藤百(もも)さんは「平和とはたくさんの命と生きること。暮らしの実践がないと身に付かない。農業は職業ではなく生き方」、志摩市長の竹内千尋さんは志摩町和具の漁師たちが始めた共同操業均等分配の伊勢エビ漁について説明。「(伊勢エビ漁を)プール制にすることで結果として、労働時間が少なくても収益性が高く、取り過ぎることなく漁獲量も年々増加している。自主的なルールで決めていることが評価されている。一次産業を持続させるためにも消費者が買い支えるCSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)という意識を持つことも大切。今その仕組みづくりを構築しようとしている」と話す。

 高校生はこれまで作ってきた商品を説明。「私たちには大きなジレンマがある。地元の魚を使っていないこと。本当は同級生が実習で釣ってきたカツオを使って商品を作りたいが、地元に冷凍カツオを保存する大きな冷凍設備がなく、一次加工業者もないために静岡の港に水揚げしなければならない。冷凍施設ができ、一次加工工場ができれば地元の魚を使った商品開発ができ、雇用も生まれ経済効果も生まれると思う。地元の元気につながるのでは」と訴えた。

 藻谷さんは「この地域の現状を高校生が象徴的に説明した。日本のかつお節の故郷と言われるこの地域で、高校生たちが実習で釣ってきたカツオをわざわざ静岡に上げるのはいかがなものか。その結果が著しい人口減少になっている。農業とのコラボも視野に入れていただければ」と評価した。

 同コンソーシアム代表でジャパンタイムズ社長の末松弥奈子さんは「里山里海を舞台に活躍する実践者の皆さんが、地域を守ろう、大切にしていこうと日本全国で同時多発的に活動している。その活動を世界に発信することで、世界が抱える問題の解決につながるのではと思い活動している。第3回は青森県むつ市で開催するので興味を持って参加していただければ」とも。

 翌日は「的矢かき」ブランドの佐藤養殖場(磯部町)、英虞湾が一望できる横山展望台(阿児町)、「伊勢志摩備長炭」を作るさとう製炭工房(浜島町)をめぐるスタディツアーが行われた。

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