「伊勢角屋麦酒(ビール)」を製造販売する二軒茶屋餅角屋本店(伊勢市神久)が3月3日から、2018(平成30)年9月に市内下野に新設したビール生産工場の見学ツアーを開始した。
同社は1575(天正3)年創業。尾張、三河、遠江、志摩方面から伊勢神宮参拝のために、伊勢湾から勢田川をさかのぼる海路の乗降場に「角屋」の商号で、きな粉餅を販売する茶店を創業したのが始まり。これまで餅の製造販売のほかにみそ、しょうゆなどの発酵調味料なども製造する。
伊勢角屋麦酒は1997(平成9)年に、21代目社長の鈴木成宗(なりひろ)さんが立ち上げたブランドで、国内外のコンペティションで数多くのメダルを獲得。中でも2017(平成29)年と2019年に「ビール界のオスカー」ともいわれ最も歴史のある英「IBA(The International Brewing Awards)」で「ペールエール」が2大会連続ゴールドメダルを受賞する快挙を成し遂げた。
創業時から増設を繰り返してきた神久工場がブルワー(醸造者)によるマニュアルに頼っていたものを、新設した下野工場では、オートメーション化し衛生管理の徹底と生産性を向上させた。
鈴木社長は「これまでも工場見学の希望は多くあった。新工場が稼働し落ち着いてきたことから、『伊勢角屋麦酒を楽しむ醸造見学ツアー』としてメニュー化した」と話す。
ツアーでは、同社専務の鈴木千賀さんが同社の歴史、ビールの説明などの座学を、工場長の谷水和輝さんが工場の中でのビール製造工程などを説明。モルトやホップを手で触ったり、麦汁や発酵途中のビールなどを試飲したりすることができる。所要時間約1時間。
鈴木専務は「IBA金賞の2017年は神久工場で、2019年はここ下野工場で製造したペールエールが評価された。2017年の旧工場と2019年新工場でのIBA金賞は私たちにとって、とても自信となっている」と説明。この日は「ペールエール」「ヒメホワイト」「ゴールデンドラゴン」の3種類のクラフトビールを試飲した。
鈴木専務は「プレミアムツアーとして鈴木成宗社長がガイドする見学ツアーも用意しているので、興味があれば予約していただければ」とも。
初日は、奈良プラザホテルや奈良健康ランド(奈良県天理市)などを運営する平川商事(同)の従業員6人が参加。伊勢角屋麦酒の長年のファンという津田五郎さんは「ファンにとってはイセカドのビール工場の中に入って、直接工場長とお話しできるなんて、憧れだった」とほほ笑む。
見学ツアーの3月の予定は、17日、18日、24日、25日で11時~、14時~。参加費は1人~5人1グループ5,500円、6人~10人1グループ8,800円。「社長の鈴木成宗がガイド!伊勢角屋麦酒醸造見学ツアー」の参加費は1人~5人1グループ2万2,000円、6人~10人1グループ3万8,500円、11人~20人1グループ5万5,000円。要予約。