
猿田彦大神を主祭神とする仙宮(せんぐう)神社(南伊勢町河内)社務所庭に自生するヒギリ(緋桐)に現在、緋(ひ)色の花が鮮やかに咲き誇っている。
伊勢神宮外宮(げくう)、度会神道(わたらいしんとう)と深い関わりがある同神社。社殿は、360段の階段を登った標高約70メートルの山の上にあり、本殿背後には古代の祭祀(さいし)跡であったとされる磐座(いわくら)があり、多くの遺物が出土する。岩肌が猿の横顔に見える「猿神石(さるしんせき)」も近年見つかっている。
シソ科クサギ属の落葉低木のヒギリは、原産は東南アジアの亜熱帯植物。葉の形がキリに似て、花が緋色であることから緋桐と名付けられた。
加藤實(みのる)宮司は「7月の初めごろから赤い花が咲き、毎年9月、10月ごろまで咲き続ける。真夏の一番暑い時期によく咲き、緋色がとても印象的なので特に目立っている。巫女(みこ)の着る緋袴(ひばかま)と同じ色で神社の庭にはとてもよく合う。シダ植物で熱帯、亜熱帯地域で育つオオタニワタリも自生しているが、共に何も手入れしていなくてもよく育ち、この辺ではあまり見かけないので不思議に思う」と話す。