通信制高校を運営する学校法人「代々木学園」代々木高等学校(志摩市磯部町)と一般社団法人「三重県建設業協会」志摩支部(志摩市阿児町)が9月4日、建設業界における担い手不足解消と若者の自立就労支援を目的とした包括連携協定を締結した。
志摩の代々木高と建設業協会志摩支部、eスポーツで「建設DX職人」育成へ
同協定に基づき、同校は同支部のバックアップの下、2027年4月に新プロジェクト「伊勢志摩・就労eスポーツ」を開校する(2028年4月グランドオープン予定)。ゲームに熱中する若者のポテンシャルを最新の「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」技術へと転換し、地域インフラを支える次世代の技術者を育成する取り組みとなる。
近年、建設現場では重機の遠隔操作やドローンによる3次元測量、ICT施工管理など、デジタル化が急速に進展。同プロジェクトでは、若者がシミュレーションゲームやeスポーツで培った「精密なコントローラー操作」「高度な空間把握能力」「瞬時の状況判断力」に着目。従来の「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージを覆し、空調が効いたオペレーションルームなどから遠隔操作を行う「デジタル武装職人」の育成を目指す。
実践拠点となるのは、近鉄賢島駅から徒歩3分の元リゾートホテルを活用した施設「賢島ベース」(志摩市阿児町)。施設内には最新の重機シミュレーター、ドライブシミュレーター、ドローンシミュレーターなどを導入し、ゲーム感覚で操作技術を習得できる環境を整える。さらに、賢島ベース裏の真珠小屋を活用した体験施設「賢島ビレッジ」では、カヤックやSUPなどのマリン活動を通じ、チームビルディングや人間関係形成力も育む。
カリキュラムは「週3日通学・週2日提携企業就労」のハイブリッド型を採用。月曜・水曜・金曜に通学してシミュレーション実習やリポート学習を行い、火曜・木曜は地元建設企業でアルバイトとして就労する。学費面では、国の就学支援金により授業料(年30万円)が実質無償化されるほか、年間30万円の実習費用(技能学習費用)を提携企業が立て替え、就労給与から分割返済する「就労学費支援制度」を整備。卒業時に借金が残らない仕組みを構築し、入学時の経済的負担を大幅に軽減する。在学中には、16歳から取得可能なドローン操縦士や、18歳から取得可能な重機オペレーター免許、現場監督を目指せる「2級土木施工管理技士」といった国家資格の取得も支援する。
調印式で、代々木高校の清水宝文校長は「『ゲームばかりして』としかられていた若者が、AI時代において希少価値の高いプロスキルを持つ能力に転換できる。誰かに引っ張られる『グライダー型人間』ではなく、自らの情熱をエンジンにして飛ぶ『飛行機型人間』を、地域の皆さまと共に温かく育てていきたい」と意気込む。
三重県建設業協会志摩支部の西尾亮支部長は「地域インフラを守る建設業界の若手不足は限界に達しているが、現場のDX化が進む今こそ、デジタルを自在に操る若き精鋭が必要。若者が『かっこいい』と憧れるハイテク専門職を創出し、将来の地域リーダーとなる人材を業界に迎え入れたい」と期待を寄せる。
同校では今後、2027年4月の先行開校に向け、実習カリキュラムの構築や施設整備を進めていく。