伊勢市の出版社「月兎舎(げっとしゃ)」(伊勢市馬瀬町)が9月1日、飲食店ガイドブック「三重のスロー食堂 総集編」を発刊した。
本書は、2000(平成12)年創刊で2025年に終刊を迎えた季刊誌「NAGI(なぎ)」で取材した店や、同誌が継続していれば取材したであろう「地産地消・手づくり」をテーマにしたスローな飲食店を地域別に紹介するもの。和食や洋食をはじめ、古民家カフェ、ビーガンカフェ、地場産のお茶を提供する米農家カフェ、自家焙煎の珈琲店、手づくりパン工房など全96軒のほか、自然食品店や定期市の案内を紹介する。
本シリーズは2007(平成19)年に食材の生産者も紹介する「スローフード三重」としてスタート。2011(平成23)年の第2集より飲食店に特化した「三重のスロー食堂」へと改題され、2015(平成27)年、2021年の改訂を経て、今回の第5集で総集編として完結する。
物価が変動し続ける現代において、情報の更新が早いネットメディアが主流となる中、同社の編集発行人である吉川和之さんは「物価が安定しない時代に、印刷物の飲食店ガイドはそぐわないのかもしれない。でも、いつでも更新可能なネット情報にはない、つくり手の思いや産地の物語は、やはり本でしか伝えられないと思っている」とあえて紙の書籍にこだわる理由を語る。
吉川さんは「現代の食を取り巻く環境についても強い危機感と願いを抱く。グローバル化や大量生産・流通の効率化によって食卓が便利になった一方で、国内の食料自給率は低下し、小規模な伝統的農業や漁業の担い手は減少している。南北に長く、伊勢平野の野菜や伊賀盆地の米、鈴鹿山麓のお茶、伊勢湾・熊野の魚介、山の幸ジビエといった豊かな食材に恵まれた三重県。自然と共生する生産現場から届く安全な食材をベストな調理で提供する店の存在は、地域の誇りだ」と力を込める。
「スローとは、ゆっくり、じっくり生産され、人の手でていねいにつくられること。ファストやインスタントとは対極のもの。消費者に食べる喜びを生産者に生き甲斐を与え、後進の目標となるようなお店を発信することで、地産地消の一助になれば」とも。
仕様はA5判横長、116ページ、オールカラー。価格=1,100円、発行部数=4000部。三重県下の主要書店、一部スーパー、道の駅、掲載店のほか、月兎舎ホームページやネット書店で取り扱う。