草木染工房「ギャラリー葉(よう)」や里山カフェ「かくれ家 風(ふう)」(度会郡玉城町、TEL 0596-58-5725)を開く草木染作家の高野葉さんが9月13日~17日、三重県立美術館(津市大谷町)県民ギャラリーで「陽光桜染展」を開催している。
宮城県出身の高野さんは、京都で草木染と出会い1996年に同工房を開設。同展は桜の品種「陽光」の花が咲く前の枝から抽出した染色液で染めた布(1本約10メートルの布を10本、計102メートル)と折り紙のツルやサクラをちりばめた作品「永久(とわ)に光り舞う いのちの桜」を展示する。6月には愛媛県立美術館(愛媛県松山市)でも展示し、1000人近い人が鑑賞したという。
「陽光」は愛媛県東温市出身の高岡正明さん(1909~2001年)が「どんな環境下でも咲くサクラを」と研究し約30年の月日を掛けて開発した品種で、きっかけは戦時中、教員だった高岡さんが教え子たちに「この校庭のサクラの木の下でまた会おう」と戦争に送り出したが終戦を迎えその約束が果たせなかった無念から、不戦の思いと鎮魂と平和を願って開発した。
作品創作のきっかけを高野さんは「陽光は愛媛県の高岡正明さんが平和への思いを込めて生まれたサクラで、気温マイナス40度の極寒のロシア・シベリア、40度の熱帯のインドネシアでも咲くので生前、高岡さんは陽光を『平和の桜』として世界の国々(27カ国)に無償で送り続けてきた。その遺志を息子の照海さんが継いでいる。そのことを聞き、感動し、少しでも陽光桜を知ってほしいと思い、平和への願いを込めて染色した」と話す。
志摩市阿児町鵜方の「横山展望台」までの道路と公園「創造の森横山」、河川「前川」沿いに合わせて1200本以上の陽光が植えられている。高野さんは「志摩市にはたくさんの陽光桜があるので、高岡さんの思いを感じていただきたい」とも。
開館時間は9時30分~17時(最終日は16時)。