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伊勢の福祉作業所が牛乳パック再生ペンケース販売へ 「擬革紙」技法を応用

伊勢の福祉作業所が牛乳パック再生ペンケース販売へ 「擬革紙」技法を応用(撮影=岩咲滋雨)

伊勢の福祉作業所が牛乳パック再生ペンケース販売へ 「擬革紙」技法を応用(撮影=岩咲滋雨)

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 就労継続支援B型事業所「あらいぐま」(伊勢市本町、TEL 0596-29-3388)が現在、伊勢の「山村乳業」(同大世古)の牛乳パックを再利用した特産品の開発に取り組んでいる。

【その他の画像】山村乳業の紙パックを再利用したオリジナルペンケース

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 「あらいぐま」は、就職が困難な障がい者に就労機会を提供するとともに生産活動を通じて、その知識と能力の向上に必要な訓練などを行っている障害者総合支援法に基づく就労継続支援のための施設。現在8人の障がい者が作業する。

 1919(大正8)年創業の「山村乳業」は、三重県産ホルスタインの生乳を100%使い、牛乳の持つ栄養分と味(コク・香り)を失わないように、ゆっくり時間をかけて殺菌するパスチャライス殺菌製法(15分間、85度で加熱)で毎日牛乳を製造。瓶タイプと紙パックタイプを主に宅配する。

 ペンケースは、クリーム色の背景に赤字で「伊勢」、黒字で「山村牛乳」と書かれた紙パックを生かしたデザインで、同事業所の利用者が、紙パックを手でもんだり道具を使って柔らかくなめしたり、カットし、同事業所の職員がミシンで縫い合わせて完成させる。

 同作業所所長の西井一浩さんは「山村乳業の紙パックは超レアだし、『伊勢』という名前が入っているので、上手にデザインすれば、伊勢の特産品になる可能性があるし、紙パックの再利用にもなる。これから、B型作業所でも収益性のある事業を行うことが求められてくるので、伊勢みやげとしてみんなで商品開発した。購入していただければ、みんながハッピーになる」と話す。

 西井さんは「利用者はそれぞれにさまざまな障がいがあるので、その適正に合わせて作業工程を考えなければならない。当初は手だけで紙パックをなめしていたが手が痛くなり非効率だった。そこで江戸時代に伊勢みやげとして人気を集めた『擬革紙(ぎかくし)』が和紙をなめして本革の様に仕上げることを思い出し、擬革紙の伝統技法が応用できるのではと、明和町で擬革紙を守り続ける堀木茂さんにアドバイスをいただいた。おかげで紙パックを柔らかくする方法が改善できた」説明する。

 「現在、みんなで作って日産20個前後。今後、ペンケースのほかに小物入れやカバンなど、伊勢らしい遊び心のある商品の開発にも挑戦したい。販売に協力していただける事業者や一緒に作業をしてくれる人も募集しているので、興味があればお声掛けいただければ」とも。

 価格は800円。山村乳業直売店「山村みるくがっこう」(同本町、TEL 0596-28-4563)で購入できる。

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