伊勢神宮内宮(ないくう)の別宮「伊雑宮(いぞうぐう・いざわのみや)」(志摩市磯部町)で6月24日、「伊雑宮御田植式」が執り行われた。
同祭は、第11代垂仁天皇の皇女・倭姫命が伊勢神宮に納める神饌(しんせん)を探し求めて志摩を訪れた時、昼夜鳴く1羽の白真名鶴が稲穂をくわえていた「白真名鶴伝説」「鶴の穂落とし伝説」に由来するとされ、平安時代末期か鎌倉時代初期から続く。香取神宮(千葉県香取市)と住吉大社(大阪市住吉区)の御田植祭とともに日本三大御田植祭の一つされる。「磯部の御神田(おみた)」として国の重要無形民俗文化財の指定を受ける。
新型コロナウイルス感染拡大を懸念し一昨年は中止、昨年は「太一」と書かれた大きなうちわのついた忌竹(いみだけ)を裸男たちが泥だらけになりながら奪い合う「竹取神事」を行わず、一部省略するなど変更して行った。今回も昨年同様に縮小して実施、一般客の見学を中止し伊雑宮までの道路にも屋台などの出店は無かった。「竹取神事」は小さくしたうちわを設置し、法被を着た男たちがそのうちわを抱えながら水田の中をぐるぐると回るだけにとどめた。
伊雑宮でおはらいを受けた、白い衣装に赤いたすきがけの早乙女(さおとめ)や田道人(たちど)が苗場を3周半回って苗を取り続いて、赤い衣装を着た倭姫命(やまとひめのみこと)に扮(ふん)した太鼓打ちが田舟に乗り田楽を奏でながら、早乙女らが田植えを行う「御田植神事」が無事執り行われた。
同祭の振り付けなど、全ての祭りの総指揮を担当する「師匠」の谷崎豊さんは「今年は磯部町の築地地区が担当だった。コロナ禍で通常の祭典が行われないのはとても残念。昔のように盛大におみたが開催できるように、コロナが収束し、早く平安が戻ってほしい」と話す。