かつお節製造元「まるてん(かつおの天ぱく)」(志摩市大王町波切)の天白幸明社長が6月17日、「第68回 全国水産加工たべもの展」で同社の商品「波頭(なみがしら) 軽軽削り」が最高賞に当たる農林水産大臣賞を受賞したことを橋爪政吉志摩市長に報告した。
志摩の「かつおの天ぱく」のかつお節「波頭 軽軽削り」が最高賞の農林水産大臣賞に 加工食品「波頭 ななつぼし」も「水産庁長官賞」
同展は、水産加工業者の生産意欲増進と品質向上、生産技術改善、健全な業界発展を目的に1951(昭和26)年から開催(現在は2年に1度)する、国内で最も歴史ある水産加工品の品評会の一つ。4部門(水産ねり製品、水産物つくだ煮、加工昆布、節類)から計824品の応募があり、部門ごとの一次審査を経て20品ずつに絞られ、味、外観、地域性、健康性、市場性などを最終審査し、最高賞がそれぞれ1品ずつ(計4品)選ばれた。農林水産大臣賞を受賞すると、11月23日に開かれる「第65回農林水産祭」にも出品され、最高賞となる「天皇杯」受賞にも期待がかかる。
「波頭 軽軽削り」は、伝統的な「手火山(てびやま)製法」で燻(いぶ)し上げ、カビ付けを繰り返した「本かれ節(血合い抜き)」で、完成したかつお節を輪切りに削って加工することで繊維を切断し、「口当たりがまろやかなソフト削りに仕上げた」のが特徴。同時に、梅雨時期の最も脂がのった千葉県九十九里浜産のマイワシを低温で炊き上げ、「波頭 軽軽削り」をまぶした加工食品「波頭 ななつぼし」も「水産庁長官賞」に輝き、ダブル受賞に。商品名の「ななつぼし」は、マイワシの背中に一列に並んだ7つの斑点(星)があることから命名したという。
同社は、伊勢神宮の祭典で神様に供えられる神饌(しんせん)の中に必ずかつお節があることをものづくりの源流とし、大王崎の突端で伝統を紡いできた。敷地内にある100年以上前の「鰹(かつお)の燻し小屋」は国の登録有形文化財にも登録され、「いぶし小屋見学ツアー」を開いて、先人の知恵と伝統技術を後世に伝える食文化の発信にも力を注ぐ。
志摩市長への受賞報告会では、実家が同じく波切のかつお節製造元「久政(きゅうまさ)」で、かつお節の文化や業界の現状に深い造詣がある橋爪市長が、天白さんに代わって「実は、このかつお節を入れるパッケージの素材はとても高度に作られているもので、品質を損なわないための徹底した静電気対策や、限られた食品にしか施されない窒素ガス充填(じゅうてん)などに対応しているが、ほとんどの人はそのような事実は知らない」と日本の食文化を支える技術の奥深さを専門的見地から解説。昨今のナフサ価格高騰に伴う包装資材(袋やシールなど)のコスト増という厳しい現状を踏まえ、「大量生産・大量販売ができない伝統的な商品だからこそ、コストの逆風下でも付加価値を高め、地域の価値を上げていく営業戦略が重要」と、その希少性と高い品質に見合ったプレミアムな価格帯(高価格設定)への理解を消費者に求めた。
今回の受賞を受け、天白社長は「かつては小さな漁村の波切地区に100軒以上のかつお節加工場があったが今では久政さんと山彦鰹節さんと当社の3軒(社)だけになった。先人たちが苦労を重ねて継承してきた地域の食文化をこれから責任を持って継承する身として、先人たちへの感謝を忘れることなく、次世代へつなぐ糧となる受賞と受けとめている」と身を引き締める。「今後はこの受賞に恥じないものづくりはもちろん、地域ブランドの価値向上、さらに内外への地域の情報発信に精進する所存」と、地域貢献への意気込みと決意を新たにした。
価格は、「波頭 軽軽削り」=864円、「波頭 ななつぼし」=1,080円。