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志摩市民病院の屋上で入院患者がドラム演奏 動画再生が50万回超に

志摩市民病院の屋上で入院患者がドラム演奏 動画再生が50万回超に(写真提供=志摩市民病院)

志摩市民病院の屋上で入院患者がドラム演奏 動画再生が50万回超に(写真提供=志摩市民病院)

 国民健康保険志摩市民病院(志摩市大王町)の屋上で撮影された一本の動画をSNSで配信したところ反響を呼び、7月24日時点で再生回数が52.5万回を突破し、2.2万件を超える「いいね」と216件のコメントが寄せられている。

志摩市民病院の屋上で入院患者がドラム演奏 吉田さんがタップダンスを披露し小川さんのドラムとグルーブする

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 動画の主役は、同院に一時入院していた66歳の小川恵(めぐむ)さん。かつて地元のステージでスティックを握っていた元ドラマー。慢性疾患の悪化により、「もうドラムはたたけないかもしれない」と未来を諦めかけていたところ、一人の看護実習生のひたむきな寄り添いが、その心を動かした。その実習生は、ユマニテク看護助産専門学校(四日市市)3年のカイン・プイン・フゥさん。カインさんは志摩市と同校が協働する、4つの実習領域を一つの病院で一貫して学ぶ日本初の「シマニテクナースプログラム」の選抜学生の第1期生。

 カインさんは毎日何時間も小川さんの心に寄り添い、入院初期に小川さんが漏らしたドラムへの未練を聞き逃さなかった。「もう一度、あの笑顔を見たい」。カインさんの思いに、同じく実習中だった高知大学医学部6年の医学生、吉田千洋さんらが呼応。たまたま院内にあったドラムを、ドラム経験のある三重大学医学部5年生の医学生の鈴木康平さんが組み立て、5月26日、タップダンスとのセッションを企画した。主治医である山本恭資(きょうすけ)副院長やリハビリ職らが安全を厳重に管理し、酸素投与量を調整しながら夢の舞台が実現した。

 小川さんのドラムと吉田さんのタップダンスが響き合う屋上。小川さんは「最初は1人でたたいてもなぁ…(面白くないなぁ)と思ったが、吉田さんが隣で僕のドラムに合わせるようにタップを踏んでくれたので、グルーブ感を味わうことができて、とても楽しかった。入院して良かったと思った」と当時を振り返る。現在は自宅でギターを弾くなどして生活を楽しむ意欲を取り戻している。

 カインさんが小川さんに寄り添い、ドラムをたたきたい思いを聞き逃さなかったこと、たまたま病院にドラムがあったこと、そのドラムをセッティングできる鈴木さんがいたこと、演奏会を開くために医師、看護師、リハビリ職が垣根なく連携し小川さんの夢を実現させようと協力し合ったこと、そして演奏中に吉田さんがタップを踏んだこと、それらが重なり小川さんの夢をかなえることにつながった。加えて、昨年10月から「SNSによる発信を強化しよう」と取り組んでいる院内の広報委員会の活動が功を奏し、50万人以上の人々に小川さんの演奏が届いた。

 背景には、医療業界では全国的な先進モデルとなっている、同一の病院内で患者を継続して診る「シマニテクナースプログラム」がある。志摩市と同校は2024年度から同プログラムを協働で運営しており、成人看護学I・II、老年看護学II、地域在宅看護論IIの4つの実習領域を志摩市民病院などの同一フィールドで一貫して実施している。

 志摩市と同校は、この取り組みを発展させて医療・介護・福祉の連携強化と地域完結型の人材育成を進めるため、6月29日に包括連携協定を締結。これにより、地域医療の魅力を知った看護師が市内の医療・介護現場に定着する好循環をつくり、全国の看護師不足に対する地方発の解決モデルとしての発信を進めようと取り組んでいる。

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