志摩市にある伊勢神宮別宮「伊雑宮(いぞうぐう・いざわのみや)」(志摩市磯部町上之郷)で6月24日、恒例の「御田植祭(おみた・おたうえさい)」が行われた。
1990年に「磯部の御神田(おみた)」として国の重要無形民俗文化財の指定を受けた同祭は、平安時代末期から鎌倉時代初期から始まったとされる。香取神宮(千葉県香取市)と住吉大社(大阪市住吉区)の御田植祭とともに日本三大御田植祭の一つといわれている。正式には「伊雑宮御田植式(いざわのみやおたうえしき)」。
同祭は、第11代垂仁天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)一行が伊勢神宮に納める神饌(しんせん)を探し求めて志摩を訪れた時、1羽の白真名鶴が稲穂をくわえていた「白真名鶴伝説」「鶴の穂落とし伝説」に由来するとされ、踊り込み唄に「昔真名鶴磯部の千田(ちだ)に稲穂落としたその祭り」と歌われている。近くにある伊雑宮の所管社「佐美長(さみなが)神社」(同恵利原)は「穂落としさん」「穂落宮(ほおとしみや)」と呼ばれ地元民に親しまれている。祭りで歌われる躍り込み唄や数え唄の歌詞の中に由来の伝説が登場する。
祭りは、伊雑宮でおはらいを行った後、場所を隣接する神田に移し、田道人(たちど)と白い衣装に赤いたすきがけの早乙女(さおとめ)が苗場を3周半回って苗を取る。次に裸男たちが、松竹梅、太陽、月、太一と書かれた千石船などが描かれた大きなうちわのついた忌竹(いみだけ)を泥だらけになりながら奪い合う荒々しい動的な「竹取神事」、赤い衣装を着て倭姫命に扮(ふん)した太鼓打ちが田舟に乗り田楽を奏でながら、白い衣装に赤いたすきがけの早乙女らが田植えを行う静的な「御田植神事」、作業を終わり同宮の一の鳥居まで役人一同が踊りながら行進する、動と静を併せ持つ「踊込み」が行われた。
この日は、昨年同様、早朝から雨が降っていたが、祭りが始まるころには雨は止み太陽と青空が広がる好天となった。。今年は、穴川地区が担当した。