伊勢市在住のプロランナー・松岡直希さんが5月24日、南アフリカ・ケープタウンで開催されたアボットワールドマラソンメジャーズ(WMM)主催の「年代別世界選手権(45~49歳男子クラス)」で世界の頂点に立った。
南アフリカ・ケープタウンで開催されたワールドマラソンメジャーズで年代別世界選手権(45~49歳男子クラス)で世界の頂点に立った松岡直希さん
同選手権は、世界で最も歴史と権威のある最高峰のマラソン大会群「ワールドマラソンメジャーズ(WMM)」が主催する、各年代のトップランナーを決める舞台。世界375以上の予選レースを勝ち抜き、厳しい参加標準記録を突破した精鋭たちが集う。今回のケープタウン大会には、世界85カ国から1850人の年代別代表ランナーが出場。45歳の松岡さんがエントリーした「M45(45~49歳男子)クラス」には、各国から152人の強豪が顔をそろえ、松岡さんは2時間30分19秒の好タイムを記録。2位との差はわずか3秒という大激戦を制し、見事、優勝を果たした。
松岡さんにとって、今回の世界タイトル獲得は前々回の「猛烈な悔しさ」を乗り越えた末の栄冠だった。2024年に開催されたシドニー大会前、松岡さんは5月~7月に行われた前哨戦を全て優勝するという完璧な仕上がりを見せ、8月には1カ月間にわたり山にこもって過酷な高地トレーニングを積むなど万全の体制で臨んだが、「世界一になりたい」という強い思いが裏目に出てしまい、直前にオーバーワークから脚を痛めてしまう。当日は強行出場したものの世界の壁は甘くなく、7キロ地点で失速。自己ベストから30分も遅れる結果となり、カテゴリー下位に沈む惨敗を喫した。「全てを懸けて、ささげて準備してきた分、自分の力をまったく出し切れなかった失望感は計り知れなかった。人生で初めて燃え尽き症候群を経験し、しばらくは走ることすらできない状態になってしまった」と振り返る。
そうしたどん底からはい上がり、再び世界の舞台へ挑戦を決意したことが今回の劇的な勝利へとつながった。松岡さんの出身校である宇治山田商業高校(伊勢市黒瀬町)陸上部には、2004年アテネオリンピック女子マラソン(2時間26分20秒)の金メダリストの野口みずきさんがいる。松岡さんは「野口みずき先輩と同じ世界タイトルを取ることができて、本当に頑張ってきて良かった。野口先輩にも結果を報告した。これまで応援してくださったたくさんの方々に、この結果で恩返ししたいという思いが強かった」と喜びを語る。
悲願の世界一を達成した松岡さんは「ここを目標にずっとやってきたので、今はゆっくり休みたいのが本音。次の目標は世界基準であるワールドマラソンメジャーズの大会に全て出場すること」と決意を新たにする。
WMMは、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティ、東京、シドニーの世界7大大会で構成される最高峰の舞台で現在、第8の候補地に今回のケープタウンが入っている。年代別世界選手権は、世界各地の予選を勝ち抜いた各年代(5歳刻み)のトップが競う。単独開催ではなくメジャー大会の枠内に組み込まれ、開催地は毎年持ち回りとなる。