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伊勢志摩サミット10周年フォーラム 前三重県知事「今だから言える話」

伊勢志摩サミット10周年フォーラム 前三重県知事「今だから言える話」(撮影=岩咲滋雨)

伊勢志摩サミット10周年フォーラム 前三重県知事「今だから言える話」(撮影=岩咲滋雨)

 「伊勢志摩サミット」開催から10周年を記念したフォーラムが5月31日、阿児アリーナ(志摩市阿児町)で開催された。

伊勢志摩サミット10周年フォーラム 前三重県知事「今だから言える話」も

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 同フォーラムは、2016(平成28)年5月26日・27日に開かれた主要国首脳会議G7伊勢志摩サミット開催から10年の節目を記念したもので、当時の関係者や市民らが多く詰めかけ、熱い議論と当時の舞台裏エピソードに耳を傾けた。

 トークセッションの進行役を務めたのは、当時三重県の伊勢志摩サミット推進局長として官民一体の準備を率いた西城昭二さん。パネリストとして登壇した当時三重県知事の鈴木英敬さん(現・衆議院議員)は、「今だから言える話」として、2015(平成27)年6月5日の開催地決定当日の緊迫した様子を「当日14時ごろ、安倍晋三首相(当時)の秘書官から『駄目かもしれないが18時に総理が電話するから待機して』と連絡が入った。これで駄目だったらと思うと生きた心地がしなかった」と振り返る。その後18時過ぎに安倍首相から直接「三重でサミットをやることに決めた」と告げられた。再び秘書官から電話があり、「ところでサミットの名前は『賢島サミット』でいいのか」と尋ねられ、鈴木さんは「『賢島』では地域として少し狭い」と瞬時に判断し、電話口で「『伊勢志摩サミット』で」と直訴。これがそのまま2分後の閣議決定へとつながった。

 さらに鈴木さんは数日後に「(名前に)『三重』も入れてもらえませんか」と再度懇願したものの、「それは無理」と却下されたという。鈴木さんは「あの決定の瞬間のドキドキは今でも忘れられない。伊勢志摩地域が(いろいろな意味で)『選ばれる場所』になったことは、その後の県民アンケートでも幸福度の最高値を記録するなど、明確なレガシー(遺産)として住民の幸せにつながっている。やればできるという気持ちで、これからもみんなで頑張っていこう」と力強くエールを送った。

 当時、外務省で伊勢志摩サミット準備事務局長を務めた滝崎成樹さん(元・内閣官房副長官補)は、開催地に志摩市が選ばれた理由として、「安全に首脳たちが率直に議論できる静かなリゾート地であり、伊勢神宮や美しいリアス式海岸といった日本の原風景があること、そして食を含めた日本の魅力を世界へ発信する最適な場所だったこと」と解説。

 各国首脳にワーキングディナーなどを提供した志摩観光ホテル(志摩市阿児町)総料理長の樋口宏江さんは「素晴らしい三重の生産者の方々が、最高の食材を届けてくださった。その後、サミットを機に、生産者の思いを一皿に載せて発信する『伊勢志摩ガストロノミー』の取り組みを始められたのも大きなご縁」と話す。

 フォーラム後半には、サミット当日に伊勢神宮を訪問した首脳らによる記念植樹式に、地元小学生の代表として参加した2人の若者がマイクを握った。当時、磯部小学校6年生で、アメリカのオバマ大統領(当時)に植樹用のスコップを渡す大役を務めた倉谷祈純(きづな)さん。「オバマ大統領から英語で名前と年齢を聞かれ、答えると、『おお、キヅナ!』と名前を呼んでもらえた。『志摩市に世界があるのだ』と強烈に感じた」と振り返る。

 この場面について鈴木さんからは「25日サミット開幕前夜、日米首脳会談が緊迫した中で行われた。実はオバマ大統領が伊勢神宮に到着し、安倍首相と宇治橋を渡りながら会話をしているシーンでは「昨日は言い過ぎだろう(沖縄で起きた元米兵による女性遺体遺棄事件に対して安倍首相がオバマ大統領を詰めたことに対して)」と会話をしていたそうだが、オバマ大統領は非常に不機嫌だった。しかし祈純さんの『絆(きづな)』という名前を聞いた瞬間、笑顔になった。東日本大震災での米軍の救援作戦『トモダチ作戦(作戦名に絆の精神が含まれる)』をオバマさんが想起し、心に響いたからではないか」と10年越しの伏線を明かした。祈純さんは現在、医学部で学び、「一瞬の出来事が人生に大きな影響を与えた。将来はまず志摩市に貢献できる医師になり、その後世界で活動し、その経験をまたこの街に還元したい」と夢を語った。

 ドイツのメルケル首相(当時)にスコップを渡した和具小学校6年生だった竹内青心(あこ)さんは「緊張して何も言えなかったが、あの経験が国際社会や語学への興味の原点になった。現在は大学で外国語(中国語)を専攻。将来は世界と志摩市をつなぐ国際関連の仕事に就きたい」と地元への愛を語った。

 橋爪政吉志摩市長は「今日、2人の成長した姿と『志摩に恩返しがしたい』という言葉を聞き、本当に胸が熱くなった。彼らが安心して帰ってこられる場所、市民が誇れる自慢の街を徹底的に作っていきたい」と決意を新たにし、フォーラムを締めくくった。

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