「波切(なきり)神社」(志摩市大王町)で9月7日、巨大なわらじを海に流す「わらじ祭」の神事が行われた。
全国各地で「ダンダラボッチ」「ダンダラボウシ」「データラボッチ」などと少しずつ呼び名は違うが、海を荒らし、村を壊し、若い娘をさらって悪さをする大男・巨人の昔話を今も伝える波切地区。太平洋に面した高台に立つ同神社、近くには上れる灯台「大王埼灯台」が海を守る。
一つ目のダンダラボッチが「韋夜ヶ島(いやがしま)」現在の「大王島」にすみ、海を荒らして悪さをするので困った村人たちが、波切の神さまである韋夜権現(いやごんげん)に助けを請い、村人たちが団結して大きなわらじを作ってダンダラボッチに、自分よりも大きな男がいると思わせて退散させたと言われる由来を元に再現する同祭は、1703年に再興されてから毎年9月の申(さる)の日に行われ、300年以上の歴史がある。
わらじの大きさは、縦約2.3メートル、幅約1.7メートル、重さ80〜100キロ。当日は、玉田司宮司によるおはらいの後、稚児5人がわらじを引く「わらじ曳(ひ)き」が同神社で行われた。本来なら神事の後、男4人が海岸までわらじを担いで海に流す「わらじ流し」を行うが、悪天候のため、当日にくんできた海水をわらじにかける所作を行った。
神事終了後、当主の坂中信介さんは「大王島周辺の瀬(韋夜)は台風や荒波の際に自然の防波堤となり、被害を最小限に食い止めてくれる神様だと聞いている。大雨が続く中、こうして無事に神事ができたのも『いやの神』のおかげかもしれない。地方に伝わる唄には『如神在(じじざい=神があるがごとし)』という言葉があるが、神様が見守ってくれていることを感じながら平穏な日々を送っていただければ」とあいさつした。
同祭の関連行事として、11日には伝統の「相撲大会」を行うほか、12日には波切漁港周辺で「本祭」を開催する。当日は9時30分からの中学生みこしを皮切りに、「食いだおれ市」「かつお一本釣り体験」、稚児らによる「わらじ曳き神事」、海へ送り出す「わらじ流し」を再現。夕方からは特設ステージで太鼓演奏やダンスを披露し、20時からは秋の夜空を彩る花火大会を行う。
本祭の開催時間は9時〜21時(荒天時は13日に順延)。