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「宙に浮く富士山」珍しい自然現象-伊勢志摩の海岸から撮影

「宙に浮く富士山」珍しい自然現象-伊勢志摩の海岸から撮影

「宙に浮く富士山」珍しい自然現象-伊勢志摩の海岸から撮影

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 冬の寒い時期の早朝で空気が澄み地上に雲がない条件の時、伊勢志摩の海岸0メートルの地点から富士山を見ると、宙に浮いた浮島のように見える不思議な自然現象が発生する。官公庁の仕事始めとなる1月6日、伊勢志摩経済新聞のカメラマン泊正徳さんが「宙に浮く富士山」の撮影に成功した。

伊勢志摩スカイライン展望台(標高500メートル)からの富士山は裾野もくっきり

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 昨年6月にユネスコ世界文化遺産登録された高さ3776メートル日本最高峰の富士山。「一富士二鷹三茄子」初夢に見ると縁起がいいとされるほどだが、新年に入って伊勢志摩からくっきりと見えたのはこの日が初めてで、元旦には姿を表してくれなかった(3日には薄っすら、5日は頭だけ観測)。

 伊勢志摩から富士山までの直線距離は約200~230キロ。2014年度の高校の教科書「新数学I」(東京書籍)141ページに「富士山はどこから見える?」という課題学習が掲載されている。計算では、山などの障害物がない視界で半径約223キロまで観測可能だという(実際には大気中の光の屈折があるため、その約1.06 倍=約236キロまで見ることができる)。

 志摩市在住の中学校教師で環境省自然公園指導員も務める宮本秀明さんによると、「200キロ以上離れた地点から富士山を観測するにはさまざまな気象条件が整わなければいけないため、年間に伊勢志摩から観測できるのは30日あるかないか」と前置きした上で、「『浮島現象』は海水と水面近くの空気との温度差によって光が屈折して起こる『蜃気楼』の一種。志摩半島は富士山から200~230キロ離れているが、大気による浮き上がり現象によって、海岸から山頂付近まで見える唯一の場所。標高0メートルで富士山を見ることができる最遠が伊勢志摩。さらに志摩半島は、沖を通る暖流の黒潮によって、冬場は海水温と気温の差が大きくなるため、浮島現象が起こりやすい」と解説する。

 伊勢志摩からの富士山撮影に情熱を燃やす泊さんは「2011年は、7日間連続で富士山が観測できるというとてもラッキーな年だった。今朝は安乗灯台(志摩市阿児町)の下から撮影したが2011年1月7日に横山展望台(同)から撮影した時と同じくらい鮮明だった」と話す。「『宙に浮く富士山 』はおそらく、伊勢志摩でしか撮影できないと思う。今年世界遺産登録10周年となる熊野古道の稜線に落ちる夕日も素晴らしいので、2カ所の世界遺産が撮影できる伊勢志摩に、ぜひ一度撮影旅行にお越しいただければ」と話す。

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