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巫女が腰まで海水に漬かりキュウリなどを流す神事、津波の教訓後世に-二見興玉神社で

腰まで海水に浸かりキュウリやナスなどを流す巫女、二見興玉神社「郷中施」

腰まで海水に浸かりキュウリやナスなどを流す巫女、二見興玉神社「郷中施」

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 二見興玉神社(伊勢市二見町)境内社の綿津見大神(わたつみのおおかみ)を祭る「竜宮社」で7月4日、津波の教訓をいつまでも忘れないように、災害が起こらないように祈願し、被災者を供養する神事「郷中施(ごじゅうせ)」が行われた。

腰まで海水に浸かりキュウリやナスなどを流す巫女

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 同神社の巫女(みこ)2人が、「胡瓜(キュウリ)」「海松(ミル)」「松菜(マツナ)」などを載せた約80センチの木舟を竜宮社前の竜宮浜から腰まで海水に漬かり海に流した。

 1792(寛政4)年5月15日、この地域で大災害(大津波)が発生し、当時同神社の氏子たちが住む江(え)村の民家約20戸が流出・破損した。無事残った家はわずか5、6軒だったという。氏子たちは隣人同士助け合い、郷中(里中)が施し合って(助け合って)この水難を乗り越えた。

 同祭は、その教訓を後世に伝えようと「郷中施」として毎年旧暦の5月15日に執り行っている。供物の「キュウリ」「ミル」「マツナ」は、子どもから大人まで理解できるように「(津波を)急に、見るな、待つな」の語呂合わせ。

 茶屋区長の一ツ家重樹さんは「過去の教訓から学ばなければならないが人間は少しずつ忘れてしまう。今の子どもたちも郷中施の意味を知らないのでは?祭りを通して過去の教訓を後世に伝えていきたい」と話す。

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