大地震のあった南米ベネズエラの首都カラカスで日本食レストランを営む志摩観光ホテル(志摩市阿児町)OBの竹内浩之さんを応援・支援しようと同じOB会の仲間が声をかけ7月23日、フレンチレストラン「カンパーニュ」(伊勢市勢田町)で緊急のチャリティディナーを開催した。現地とテレビ電話で通信し、被害の状況などを直接竹内さんから聞いた。
伊勢・仏レストラン「カンパーニュ」でベネズエラ地震被災の仲間を「食べて応援」
竹内さんは、1978(昭和53)年に駐ベネズエラ日本国大使の公邸料理人として渡航。1981(昭和56)年に日本食レストラン「Avila-Tei(阿比良亭・アビラ亭)」のシェフとなり、1985(昭和60)年から現在までオーナーシェフを務める。アビラ亭は、ベネズエラにおける日本食レストランの草分け的存在で、特に寿司の普及に大きく貢献し、竹内さんは「ベネズエラで寿司を普及させた料理人」としても知られている。2017(平成29)年には日本食文化普及の功績により外務大臣表彰を受賞。2022年にベネズエラでの日本食普及の親善大使に就任する。
南米ベネズエラを襲った未曽有の大地震から約1カ月が経った。今回の企画は、今年4月6日に県内で開催した志摩観光ホテル出身者のOB会に竹内さんがベネズエラから駆けつけてくれたことがきっかけ。カンパーニュオーナーシェフの東健夫さんも志摩観光ホテルの当時の料理長=高橋忠之さんから薫陶を受けたひとり。東さんは「OB会で竹内さんの隣席だったので、ワールド・ベースボール・クラシックでベネズエラが優勝したことやベネズエラの国内の話をたくさん聞いていた。まさか地震が発生するとは驚いた。何かできないかと今回の企画に賛同した」と話す。
ベネズエラ現地では6月24日にマグニチュード7クラスの連続地震が発生、5000人以上が死亡、約1万7000人が負傷、数万人が行方不明となっている。首都カラカス市内でも多くの建物が損壊、インフラや行政機能がまひするなどの甚大な被害が報じられている。震災直後、竹内さんの店舗もタイルや壁が崩れるなどの被害を受けた。地震発生時は営業中だったが、約30人の客と従業員を含め全員に人的被害はなかった。地震発生後、国(政府や公的機関)の動きやアナウンスは少なく、被害の実態や正確な情報は、現地のメディアよりもむしろ海外のニュースやメディアから知る方が正確だと感じるほどだという。
OB会所属で元志摩市長の竹内千尋さんは、「何かお役に立てることはないかと、まずはOB会のメンバーに呼びかけお金での支援をさせていただいた。日本ではあまり現地の様子が報道されないので、少しでも身近に感じてもらい、日本でも支援の輪が広がればという思いで今回の企画を思いつき、急きょ開くことになった」と話す。
「食べて応援」を掲げた今回の食事会では、ベネズエラが世界に誇るプレミアムラム酒「ディプロマティコ(Diplomatico)」をフィーチャー。限られた時間の中で東シェフが、ベネズエラの食文化や歴史を学び、思いをはせメニューを考案。コースの締めくくりには、ディプロマティコを使用した芳醇なラムの香りをまとわせた特製プリンを提供。バナナをフランベする仕上げを目の前で演出。参加者は南米の風を感じさせる味わいに舌鼓を打った。
食事会の最中には、現地カラカスとLINEのテレビ電話をつなぐライブ中継を実施。画面に竹内さんの姿が映し出され話が始まると、神妙な表情で聞き入った。竹内さんは現地の緊迫した状況や、インフラ復旧が遅れる中で店を開け続ける理由について語り、「温かい支援と思いが何よりの励みになる」と感謝を述べた。参加した志摩観光ホテルOBや地域の仲間たちも、画面越しの仲間へ温かいエールと拍手を送り、絆を確かめ合った。
竹内千尋さんは「地球の裏側で起きた大きな地震で大変な被害が出た中、現地で頑張っている竹内さんと直接つながることで、現地の状況やリアルな思いがよく分かった。あまり馴染みのない国だからこそ、今回の食事会や支援をきっかけにベネズエラをより身近に感じ、日本がかつて海外から助けてもらったように、今度は自分たちが思いを寄せて応援する流れにつながればと思う」と締めくくった。