伊勢志摩元気プロジェクトの一環として2007年に開校し来年度7年目を迎えるコミュニティー大学「賢島大学」（志摩市阿児町神明、事務局＝代々木高校）で2月21日、2012年度の最終講座「志摩を元気にフォーラム」が代々木高校（同）の会議室で開催された。

いつでも誰でも入学できるコミュニティー大学「賢島大学」

　「元気プロジェクトが動かす明日の志摩」をテーマに地元で活躍する4人が登壇。代々木高校の校長を務め、同プロジェクト代表の一色真司さんがコーディネートしながら、議論を深めた。

　元伊勢志摩国立公園管理官で伊勢志摩総合研究所代表の下川元三さんは現在、エコツアーなどの企画を通じて伊勢志摩の自然を最大限に有効活用しようと取り組んでいる。「エコツーリズムがブームになりつつあるが本来は自然を守るための手段だった。本当の意味でのエコツーリズムはまだ日本にはないのでは」と話す。

　1993年建設、地中海風街並みを再現した会員制のリゾート施設を2010年に一般客も宿泊できるホテルとしてリニューアルした志摩地中海村（志摩市浜島町）の大西晶社長は、観光客にもっと海に触れてもらおうと桟橋とウッドデッキを新設した。「限界集落となった離島の間崎島（志摩町）へのツアーを実施し好評。島民との交流が深くなればなるほど、もっと島を活用できないかと考えるようになった」と現状を報告する。

　志摩にJリーグをつくろうと、四日市中央工業高校のサッカーの監督を歴任した城雄士さんを名誉監督に、同校出身でJリーガーとして活躍した中田一三さん、小倉隆史さん、中西永輔さん、島岡健太さんらが中心となり設立された志摩100年構想実行委員会「フットボールクラブ伊勢志摩（FC伊勢志摩）」に設立当初から関わる石本直樹さんは「スポーツを通して自然とまちづくり、人づくりに貢献していきたい。夢を持たなければいけない。目標は2022年までに志摩にJリーグチームをつくること。地域の人たちに夢を与えスポーツツーリズムを通して誘客につなげたい」と意欲を見せる。

　伊勢志摩観光コンベンション機構の水口良之さんは、観光マーケットの現状と伊勢志摩観光の推移などデータを基に説明。「三重県内の旅行消費額は4,448.5億円。今秋は伊勢神宮式年遷宮が執り行われる。遷宮景気による経済効果が期待できるが、遷宮後の計画を真剣に考えなければいけない」と訴える。

　一色さんは「伊勢志摩を心から愛する4人のパネラーと会場が立場や世代の垣根を越えシンクロし、熱い時間を過ごすことができた。観光や産業、教育といった縦割りでなく、今回のような縦横斜めの連携が図れればもっともっと魅力的なまちになるのでは」と話す。