鳥羽ビューホテル花真珠（鳥羽市安楽島町、TEL 0599-25-2111）が6月22日、自家製バスクチーズケーキの通信販売が始まった。

【その他の画像】館内で提供するバスクチーズケーキセット

　新型コロナウイルス感染症の影響を受け、宿泊客が減少し経営的にも非常に厳しい状況が続いている同館。人の移動に影響されない収益源の一つを作ろうと昨年9月、通販サイトを立ち上げ、朝食などで提供している自家製の「ごま鯛茶漬け」を販売。その後も松阪牛の精肉やハンバーグなどを販売してきた。

　バスクチーズケーキの販売は、2019年11月6日～8日に三重県が企画したスペインバスク州の「世界一の美食の街」と称されるサン・セバスチャンで、「食」を核とした地域の魅力づくりを学ぶ料理人交流事業に、同館副料理長の松本守さんが参加したことがきっかけ。松本さんはミシュラン3つ星店「アルサック」（ギプスコア県 サン・セバスチャン市）のキッチンに併設されるラボラトリオ（料理研究施設）にて同店シェフたちと料理を作ったという。

　松本さんは「当館料理長の岩城和也さんからスペインでの交流事業に参加してはとお声掛けいただき、いろいろなことを経験し学ばせてもらった。サン・セバスチャンのシェフたちはレシピもオープンで、競合するような店のシェフ同士でもとても仲良し。『世界一の美食の街』と言われるようになったのは、シェフたちがレシピを教え合い切磋琢磨（せっさたくま）しながらおいしい料理を作ろうと努力してきたからだと感じた。今回の商品も、バスクチーズケーキ発祥の店として知られる『LA VINA（ラ・ヴィーニャ）』で働いていたシェフからレシピを教えていただき、日本人の舌に合う味に少しアレンジを加え、完成することができた」と説明する。

　松本さんは「実は帰国してすぐの12月に三重県日本調理技能士会の会合が当館であり、交流事業の成果としてバスクチーズケーキを提供したのが最初。県内の調理師の方々が口々においしかったと言ってくれたので手応えを感じ、その後当館のメニューにも取り入れるようになった」とほほ笑む。

　同館おかみの迫間優子さんは「当初、宿泊のお客さまのデザートとして提供していたが、コロナの影響で、宿泊客が減少したため、今年5月末から日帰り入浴とバスクチーズケーキとドリンクをセットにした『日帰りプラン』（2,200円）として提供したところ好評だった。緊急事態宣言の延長などを受け、県外からの宿泊予約回復のめどが立たず、遠方のお客さまから食べてみたい、というリクエストも多くいただいたことから、通信販売できるように準備を進めた。海女や海藻、鳥羽水族館のジュゴン、公園のガリバー滑り台などのイラストをデザインし、鳥羽をPRしたいという思いをパッケージに表現した。鳥羽の観光パンフレットも同封して発送する」と話す。

　迫間さんは「そのまま食べてもおいしいが、季節に合わせたソース（今回はブルーベリーソース）を掛けるとより一層おいしくなる。コーヒーや紅茶はもちろん、ワインにも合う。私は日本酒『作（ざく）』との相性が一番合うと思う。発売日の6月22日は、鳥羽市にある伊勢神宮の末社『赤崎神社』（鳥羽）の月次祭（つきなみさい）に合わせたお祭り『赤崎祭り』の日。この地方で流行病が発生した際、宮域内の杉の小枝を門戸につるした家々が難を逃れたという言い伝えがあり、祭りには小杉を授与するが、その祭りがコロナで2年連続中止となってしまった。祭りがまた無事に行われるようにと思いを込めた」とも。

　バスクチーズケーキの価格は、直径約15センチ5号サイズは4,400円（送料込み＝5,400円）、直径約18センチ6号サイズは5,500円（同＝6,500円）。