介護付き有料老人ホーム「虹の夢とば」(鳥羽市鳥羽)が8月24日、志摩市の伝統野菜「鵜方の水なすび」と「米澤もち麦」を取り入れた昼食メニューを利用者に提供した。
志摩の伝統野菜「鵜方の水なすび」「米澤もち麦」 鳥羽の介護施設の昼食に
同施設では毎月24日を「虹(24=にじ)の日」と定め、特別な食事を提供している。昨年は「鵜方の水なすび」を取り入れた水ナスとオクラの焼き浸しが好評だったという。今年はさらに内容を充実させ、「鵜方の水なすび」を天ぷらの食材として使ったほか、志摩市阿児町国府出身の米澤平一さんが「ご飯をおいしく食べられるように」と品種改良を重ねて約20年かけて開発し品種登録された「米澤もち麦」を使った麦ご飯が提供された。
「鵜方の水なすび」は、志摩市阿児町の鵜方地区で栽培されていた水ナスで、地域に根ざして自家栽培され今日まで育てられてきた在来品種。生産量が限られ、ほぼ志摩地域だけで消費されてきた食材の一つで、薄い紫色で見た目は一般的ななじみのナスの形をしているが、水分量が多く、みずみずしく、あくがなく生でも食べることができるのが特長。
「米澤もち麦」はモチ性オオムギ種で、たっぷりの食物繊維やビタミン、ミネラルなどもち麦の特性を豊富に含んだ近年注目の食材。米澤さんは品種改良をするに当たり、「(当時)志摩の土地は痩せていて、おいしい米が取れなかった。味が良く、たくさん収穫できて、稈(かん)が強くて倒れにくい品種を作り、麦飯として食べれば粘りも出ておいしく食べられるのでは」と地域の人々への思いを込めて品種改良を重ねた。
当日のメニューは、志摩産もち麦ご飯、天ぷら盛り合わせ(エビ、鵜方の水なす、大葉)、とろろ汁、手作りフルーツゼリーが並んだ。管理栄養士の小久保じゅんこさんは「お好みでとろろかけご飯にして食べてもらえるように考えた」と説明する。同施設では地域の伝統野菜を積極的に活用し、その認知拡大と安定的な需要創出を意識しつつ、地域の風土に合わせて長年、種から種へと継承され守られてきた伝統野菜のおいしさに注目。「食を通じて、郷土や伝統を感じていただけたら」と副施設長の小寺由美さんは話す。
奥村ふささんは「麦ご飯は子どもの頃によく食べたので懐かしく、当時を思い出しながらおいしくいただいた。終戦時は小学3年生、9歳だった。米の配給がなくいつもおなかをすかせていた。麦も貴重だった」と戦時中の苦難を振り返る。「今は、もうぜいたくでおいしいものばかりで、本当に感謝、感謝。幸せ一杯」と笑顔で喜びを語った。